1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03640578
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
原 慶明 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (60111358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千原 光雄 日本赤十字看護大学, 教授 (60000147)
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Keywords | 珪藻 / 生活環 / 有性生殖 / 系統・類縁 / 増大胞子 |
Research Abstract |
昨年度中に有性生殖の人為的誘導に成功したタルケイソウ属1種(Melosira moniliformis v. octagona)における受精過程の観察から,新たな知見を得た.受精過程についてのこれまでの観察のほとんどは,精子が卵に取り付いたところまでで,実際に精子が卵に侵入し,核の融合に至る過程を観察した例はほとんどなかった.しかし,これまでは精子は卵に侵入する際に鞭毛を落とすと考えられてきた.しかし,ビデオによる観察から,明らかにこの種類では,精子は鞭毛を付けたまま卵に侵入することが判明した.この事実は既に論文にて発表した.また,同様に人為的誘導に成功したにアクチノキクルス属珪藻(Actinocyclus sp.)の増大胞子の電顕の観察から,他の中心類珪藻でも知られている鱗片(scales)が,増大胞子壁をかたちづくっていることが明らかになった.これは本属の珪藻では初めての観察である.さらに今年度に新たに有性生殖の人為的誘導に成功したタラシオシラ属珪藻(Thalassiosiralacustris)でも,増大胞子壁が多数の鱗片から成ることが判った.本属の有性生殖の観察はこれが初めてである. 羽状珪藻の中では比較的原始的なイチモンジケイソウ属の1種で有性生殖が誘導できた.電顕観察から,増大胞子は多数の帯状構造物からなるペリゾニウムによって被われていることが判った. 有性生殖後につくられる増大胞子を包む珪酸の構造物に関する我々の研究結果は,中心類珪藻では単純な鱗片で,羽状類珪藻ではより複雑な帯状構造物であること示した.この結果は,これまでに珪藻の系統として想定されている.黄金藻パルメラ類→中心類→羽状類の関係を一層示唆するものとなった.
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Research Products
(1 results)