1991 Fiscal Year Annual Research Report
クラミドモナスの鞭毛形態形成が異常な突然変異株の解析
Project/Area Number |
03640581
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
中村 省吾 富山大学, 理学部, 助手 (60134996)
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Keywords | クラミドモナス / 鞭毛 / 形態形成 / 単細胞緑藻 / 光形態形成 |
Research Abstract |
単細胞緑藻クラミドモナスの、鞭毛形態形成が異常な突然変異株loopー1の解析を行なった。このloopー1は、高照度下では鞭毛を形成せず、低照度下に移すと鞭毛を形成し、その形態は野生株と同じ棒状のものから野生株では見られない円盤状(鞭毛膜が膨らみ、その中で軸糸がloop状になっている)のものまで様々であるという特徴を持つ。提出した研究計画に従って報告する。1.高照度(約4,800ルクス)の白色蛍光灯下で培養した突然変異株を低照度下に移し、光学顕微鏡とビデオシステムで観察記録した。その結果、低照度下に移してから10ー16時間で鞭毛が形成されるのが観察された。また、形成された鞭毛は野生株と同じ棒状のものがほとんどであった。しかし、それら棒状の鞭毛はやがて、その途中が膨らみ、その膨らみが先端へと移動し、棒状の先端が円盤状になった鞭毛となった。それらは、やがて円盤状の部分が根門まで達し、鞭毛全体が円盤状になった。2.円盤状鞭毛を界面活性剤で処理し、鞭毛膜を除去した際の鞭毛軸糸の形態変化を暗視野顕微鏡で観察した。その結果、鞭毛膜を除去しても鞭毛軸糸の形態に変化は見られず、loop状構造を保つ性質が軸糸側にあることが示唆された。3.野生株および突然変異株の鞭毛の微細構造を透過型電子顕微鏡で比較観察した。その結果、野生株鞭毛と同じ棒状構造を持ったものでは、正常な軸糸構造を持っていたが、円盤状になった鞭毛では、軸糸構造がバラバラになり、鞭毛膜内で数回転巻いているのが観察された。また、円盤状に膨らんだ部分には均一な物質が存在しているのが確認された。4.SDSゲル電気泳動で鞭毛構成物質の変化を調べたところ、変異株鞭毛では分子量250kDと7kDが欠損しており、また、240kD、160kD、140kDそして60kDのバンドが新たに出現していた。5.野生株との交配により、四分子解析法で遺伝解析を行なった結果、一遺伝子の変異によると思われる結果を得た。
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