1993 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク燐酸化活性を指標としたメチル水銀の神経系障害機構の研究
Project/Area Number |
03640599
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小俣 三郎 新潟大学, 理学部, 教授 (40032156)
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Keywords | 神経系 / タンパク燐酸化 / メチル水銀 |
Research Abstract |
本年度は主としてラット脳細胞核におけるタンパク燐酸化に対するメチル水銀の影響について研究をおこない、下記のような成果を得た。 1.正常およびメチル水銀中毒症の各時期におけるラット脳から精製した細胞核画分を^<32>P-ATPと反応させてタンパク燐酸化を行なわせたところ、Ca^<2+>存在下/非存在下どちらの場合にも初期および潜在期において有意の活性減少が認められ発症期には回復していた。燐酸化に対するin vitroでのメチル水銀の作用の結果から、上記の変動はメチル水銀の直接作用ではないものと考えられる。 2.細胞核を音波処理/高塩濃度によって抽出画分と膜画分とに分画したところ、全活性、Ca^<2+>依存活性、Aキナーゼ、Cキナーゼ、CaMIIキナーゼ基質の燐酸化活性などに違いが認められ、中毒症初期で活性減少したものが認められた。 3.核画分を燐酸化したのち、SDS/PAGEで分別した約20種の蛋白質ごとの変動について調べたところ、蛋白質種によって異なる変動パターンが得られた。Ca^<2+>非存在下では発症期に活性増加した蛋白質種が多く認められたがCa^<2+>存在下では初期から発症期の全期間にわたって活性低下を示した蛋白質種が多かった。また、膜画分でも蛋白質種ごとに多様な変動がみられたが、Ca^<2+>依存性がみられずなかった。パーコールによって分画した神経細胞核における燐酸化活性も潜在期まで減少し、発症期には回復の傾向が認められた。
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[Publications] 家亀晴宇(Harutaka Yagame): "Differential effects of methylmercury on the phosphorylation of protein species in the Brain of acutely intoxicated rats." Toxicology. 86(印刷中). (1994)
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[Publications] 家亀晴宇(Harutaka Yagame): "Covalent protein modification in the brain of methylmercury(MeHg)-treated rats.(Abstract)" Zological Science. 8. 1133 (1991)