1992 Fiscal Year Annual Research Report
クモ類の眼の絶対感度と分光感度変動の比較生理学的・行動学的研究
Project/Area Number |
03640608
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Research Institution | 九州芸術工科大学 |
Principal Investigator |
山下 茂樹 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (30091250)
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Keywords | クモ / 眼 / 視細胞 / 感度変動 / 遠心性調節 / 脳内光感受性細胞 / 走光性 / 行動調節 |
Research Abstract |
クモ類は頭胸部上に4対8個の眼(前中眼、前側眼、後中眼及び後側眼)を持ち、更に脳内には直接光に対し感受性を示す神経細胞を持っている。我々はクモ類の眼と脳内光感受性細胞の電気的応答及び動物行動を通し、それらの機能を調べているが、今回以下の点を明らかにした。 1.コガネグモの前側眼の応答も他の眼の場合と同様に脳内光感受性細胞からの司令(神経情報)により遠心的に調節されている。恒常暗黒下では遠心性情報は昼間期に比べ夜間期に増加する。この遠心性情報の増加に伴い、弱い光に対する前側眼のERG応答の振幅は除々に大きくなったが、強い光に対するERG応答の振幅は逆に小さくなった。即ち、夜間期には昼間期に比べ前側眼の光刺激に対する閾値は低下するが、刺激強度-ERG応答曲線の傾きは緩やかになる。しかし、夜間期のERG応答は昼間期に比べ波形面積が広くなり、しばしば2つのピークを示す事が見いだされた。視細胞の光応答を細胞内記録法により調べた結果、その波形はERG応答の波形とよく似ていた。これらの結果は、前側眼の視細胞には性質の異なる複数のチャンネルが存在するか、性質の異なる視細胞が電気的に結合している事を示唆している。 2.コガネグモは暗黒背景下では眼に提示した点光源に対し負の走光性を示すが、脳照明下では点光源に対し正の走光性を示すようになる。この走光性に及ぼす脳照射光の分光特性を背中を固定し肢にY型迷路球を持たせたクモを用いて動行学的に調べた。その結果、440nmの光に極大感度を持つ脳内光感受性細胞が走光性を調節している事が明らかになった。
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Research Products
(1 results)