1991 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類におけるin Vitro系初期胚の発生調節に関する研究
Project/Area Number |
03640620
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Research Institution | Teikyo Junior College |
Principal Investigator |
中村 正久 帝京短期大学, 生活科学科, 助教授 (40130025)
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Keywords | 初期胚 / 2ーcell block / 解糖系 / NaF / ATP |
Research Abstract |
現在までの研究で,ほ乳類の初期胚は外界の環境に非常に敏感でin vitro系で培養すると発生阻害が見られることが知られている。マウスでは2ーcell blockから4ーcellへの段階,つまり第2分裂時に発生阻害(2ーcell block)が起きる。2ーcell blockの原因は明らかでないが,EDTA,培養液の組成変化,ス-パ-オキシドジスムタ-ゼなどによって2ーcell blockが解除されることが知られている。本研究はマウス初期胚発生阻害の機構を明らかにするために行われた。当研究室によってマウス初期発生阻害が培養液中のグルコ-スとリン酸を除去した場合,またグルコ-スとリン酸添加条件下で解糖系の酵素エノラ-ゼの活性阻害剤NaFを培養液中に添加した場合2ーcell blockが解除されることが見いだされたので,この解除機構を明らかにすることを目的とした。平成3年度の研究計画に示した様にNaF添加時の[ ^<14>C]グルコ-ス→[ ^<14>C]乳酸と[ ^<14>C]CO_2の生産量がNaFによって有意に低下した(P<0.01)。マウス初期胚の解糖系を阻害することによって2ーcell blockを解除することが出来る事が明らかとなった。同時に2ーcell block解除因子EDTAを加えて初期発生卵の卵内ATP量を測定すると2ーcell block解除卵は有意に卵内ATP量が高いことが分った。このことから卵内ATP量が初期発生の重要な調節因子である可能性が考えられた。
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