1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03640623
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
能村 哲郎 埼玉大学, 理学部, 教授 (40072970)
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Keywords | トリ胚 / 生殖腺分化 / 性転換 / ミユラ-管抑制物質 / 性ステロイド / 芳香化酵素 / 阻害物質 / 器官培養 |
Research Abstract |
1.本研究は、遺伝的な性の決定と生殖腺の表現型の性的分化との間を結ぶ制御機構の解明をめざすもので、哺乳類に較べて実験的性転換が容易であり、卵巣の機能発現が早く、生殖腺の左右差が顕著な鳥類を材料とした。 2.鳥類(ウズラ、ニワトリ、アヒル)の生殖腺について、まず、正常な性的分化と性転換における分化の形態的変化の過程の時間的配列を綿密に調査している。 3.生殖線の正常な分化過程は、卵殼内での胚の正常発生過程を追い、これと並行して、生殖腺が産生する生理活性物質の変動や作用を調べる準備として、胚体外に取り出した生殖腺を器官培養し、生体内とほぼ同様の分化過程を進行させる系を確立した。 4.実験的性転換の方法として、(1)遺伝的雄生殖腺の卵巣化は、遺伝的雄卵への卵巣移植やエストロゲン投与が、また、培養系では卵巣との並置培養や培地へのエストロゲン添加が行われ、(2)遺伝的雌生殖腺の精巣化は、遺伝的雌卵への精巣移植、抗エストロゲン物質投与、芳香化酵素阻害物質投与が、また、培養系での同様な処理が用いられた。 5.正常発生過程においては、胚発生の後期に、ウズラの左精巣内に、減数分裂中の生殖細胞を含んだ卵巣様皮質が一過的に形成されるという知見を得た。性転換過程では、遺伝的雄の左生殖腺の皮質の発達が、また、遺伝的雌生殖腺の皮質の退縮と精細管様構造の発達がみられ、これらの変動を追跡した。 6.生殖腺の分化過程における産生物質の変動と分布を調べる上で、最も重要な物質である鳥類のミユラ-管抑制物質を、ニワトリおよびウズラの精巣から精製中であり、粗精製物に対する抗体の作製も進行している。
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