1991 Fiscal Year Annual Research Report
縁海における堆積サイクル形成機構の解明と古海洋学への応用
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03640638
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
多田 隆治 東京大学, 理学部, 講師 (30143366)
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Keywords | Japan Sea(日本海) / Quaterrary(第四紀) / Paleoceanogcaphy(古海洋学) / Milankovitch Cycle(ミランコビッチサイクル) |
Research Abstract |
ODP日本海航海で得られた第四紀試料計340個についてX線粉末回折装置による鉱物分析および鏡下における構成粒子の同定を行った。そのうち170個については有機炭素、炭酸塩炭素、全硫黄の定量を行った。特に、797地点の分析結果を基に、日本海の第四紀における海洋変動の概要を掴むことができ、その結果の一部は既に公表した。 それによると、過去75万年間の日本海の海洋環境は、汎世界的氷河性海水準変動の影響を強く受け、究極的にはミランコビッチサイクル(地球軌道要素の周期的変化)に支配されていたことがわかった。即ち、現在のような間氷期には対馬暖流の流入により日本海内表層水の塩分濃度が上昇して深層水の形成が活発化したため、底層水は酸化的になった。また湧昇が活発だったため、表層の生物生産性は高かった。一方、氷期には、対馬暖流の流入はやみ、周囲からの淡水の流入により表層水の塩分濃度が低下して密度成層が強化され、深層水の形成は停止した。その結果、底層水は還元的となった。また、湧昇が不活発であったため、表層における生物生産性は低かった。 本年度行う予定であった、堆積物中の砕屑物の粒度分析については、珪藻の殻などの妨害があるため簡単にはできないことが判明した。そこで、生物源物質のみを溶解して砕屑物質を濃集し、粒度分析を行う方法を現在開発している。平成四年度には結果を出せるものと思われる。
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[Publications] 多田 隆治: "日本海堆積物に見られる堆積リズムと海洋変動" 月刊地球. 13. 606-612 (1991)
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[Publications] 多田 隆治: "ミランコビッチサイクルと日本海海洋変動" 岩波「科学」. 61. 640-644 (1991)
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[Publications] 多田 隆治,玉木 賢策: "日本海深海掘削の成果とその層序学的意義" 石油技術協会誌. 57. (1992)
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[Publications] Tada,R.,Koizumi,I.Cramp,A.& Rahman,A: "Correlation of dark and light layers,and the oigin of theri ayclicity in the Quaternary sediments from the Japan Sea" Proceedings of Ocean Drilling Program,& cientific Results. 127/128. (1992)
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[Publications] Tada,R.and Iijima,A.: "hithostratigraphy and compositional variation of Neogene hemipelagic sedimeuts in the Japan Sea" Proceedings of Ocean Drilling Program,& cientific Result. 127/128. (1992)