1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03640643
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Research Institution | Institute for Study of the Earth's Interior |
Principal Investigator |
本間 弘次 岡山大学, 地球内部研究センター, 教授 (70033131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加々美 寛雄 岡山大学, 地球内部研究センター, 助教授 (20108179)
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Keywords | 島弧マグマ / 微量元素組成 / ストロウンチウム同位体 / ネオジム同位体 / 琉球系火山岩 / 高苦土安山岩 / 黄尾礁 / アルカリ火山岩 |
Research Abstract |
1.琉球弧とその周辺、すなわちトカラ列島口永良部島・口之島・中之島・諏訪之瀬島・平島・悪石島・横当島・硫黄鳥島、西表島、尖閣諸島魚釣島・黄尾礁の新生代火山岩類計27試料のSrとNd同位体比を測定した。トカラ列島と沖縄トラフの後期更新世以降の火山岩類はマントル配列よりも顕著に高いSr同位体比と低いNd同位体比で特徴づけられるが硫黄鳥島の含石英安山岩と第三紀のものはマントル配列に近い組成をもつ。尖閣諸島黄尾礁の現世アルカリ岩類は多くのホットスポット型のもの同様マントル配列上ないしその左下方に位置する。高苦土安山岩は海嶺玄式岩に近い同位体組成をもつ。2.薩南海域の海山、火山島12試料のRb,Sr,Nd,Smの分析とSr及びNd同位体比の測定をし、島孤横断方向での変化を明らかにした。3.四万十帯の堆積岩6試料につき同様の分析と同位体比測定をし、マグマ源に関与したスラブ起源成分を特定した。4.以上のデータを総合して次の結論が得られた。(1)琉球弧と周辺の岩石に見られる同位体的特徴とその多様性は本源的なものであり、基本的に古第三紀から現世に至るそれぞれの島弧セッティングの変化に対応したマグマ源の性格の変遷を反映する。(2)現世島弧-背弧系火山岩類のSr‐Nd同位体システマティックスでは単なる2成分混合モデルは成り立たず、MORB源一堆積岩源スラブ成分からなるマントル源に関連した混合と島弧型マグマ-地殻岩石の2成分系からなる地殻内混合の組み合わせ=2段階2成分混合モデルが提唱されなければならない。(3)他の島弧火山岩に比べ琉球系火山岩のSr同位体比が高くNd同位体比が低いのはスラブを構成する堆積物が大陸起源成分に富むこと、及びマグマの変化の1部に地殻岩石が関わっているためである。これらは琉球島弧系が大陸縁にある若い沈み帯であってしかもやや厚い地殻をもつことと密接な関係にある。
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