1992 Fiscal Year Annual Research Report
加速器質量分析法による3万年前より古い地層の正確なC-14年代測定の研究
Project/Area Number |
03640656
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 俊夫 名古屋大学, 年代測定資料研究センター, 助教授 (10135387)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 亨 名古屋大学, 人間情報学研究科, 教授 (80205773)
中井 信之 名古屋大学, 名誉教授 (40022529)
|
Keywords | 年代測定 / 放射性炭素年代測定 / 加速器質量分析法 / タンデム加速器 / 地質層序編年 / 火山灰編年 / 年代測定比較検定 / 野尻湖層の編年 |
Research Abstract |
タンデトロン加速器質量分析計を用いる^<14>C年代測定法の特徴の一つは,4〜6万年前の古い試料の年代測定が可能となったことである.今回,この4〜6万年前の古い試料の年代測定の信頼性をテストするため,本研究を企画した.地質学・地理学・地形学の研究者に,研究の対象とされている露頭を案内して頂き,関連する年代測定試料を採取した.測定対象とする試料は,層序関係が明白なものが適当であることから,主として,広域テフラと関連したものを多く選んだ.本研究により,タンデトロン加速器質量分析計による古い年代の試料の測定に関して以下のことが明かとなった. 1.4〜5万年前台の^<14>C年代値については,年代値の大小と地層層序の上下関係とが,きわめて調和的である. 2.6万年前を越えると,年代値の飽和現象が現れ,層序の上下関係と年代値の大小とが合致しなくなる.すなわち,より下位の地層から得られた試料では,本来年代値は連続して古くなるはずであるが,6万年前を越えるとそれ以上古い年代値を示さなくなる.これは,^<14>Cを全く含まないはずの鉱物グラファイト試料が6〜7万年前の見かけの年代値(平均値は65,080 y.B.P.)を示すことからも予想されることである. さらに,本研究において,^<14>C年代測定値を他の年代測定法による結果と比較することができた.東京軽石(TP)・東京軽石流堆積物(TPfl)についてフィッション・トラック法(FT法)と,御岳火山噴出物については,カリウムーアルゴン法(K-Ar法)と比較でき,両者の年代値によい一致が見られた.詳細については,成果報告書に収録の論文別刷を参照頂きたい.異なった年代測定法の間の一致性のテストは,今後積極的に進めるべき研究課題の一つである.
|
-
[Publications] 中村 俊夫: "岐阜県八百津町の木曽川泥流堆積物から採取された埋没樹木の加速器^<14>C年代" 第四紀研究. 31. 29-36 (1992)
-
[Publications] 中村 俊夫: "東京軽石流堆積物中の炭化木片の加速器質量分析による放射性炭素年代" 地質学雑誌. 98. 905-908 (1992)
-
[Publications] 左合 勉: "岐阜県小坂町濁河川流域に分布する御岳火山噴出物から産出した炭化木片の加速器^<14>C年代" 名古屋大学古川総合研究資料館報告. 8. 17-26 (1992)
-
[Publications] 川上 紳一: "加速器質量分析計による長野県木曽郡王滝村滝越湖成層中の木片の^<14>C年代ー御岳火山活動期についての一資料ー" 火山. 37(5). 265-268 (1992)
-
[Publications] 沢田 健: "加速器質量分析計を用いた^<14>C年代測定による野尻湖層の編年" 地球科学. 46. 133-142 (1992)
-
[Publications] 中村 俊夫: "加速器質量分析法による放射性炭素年代測定の正確度の向上についての検討" 富山県地学地理学研究論集. 10. (1993)