1992 Fiscal Year Annual Research Report
中新世海洋大循環の珪藻進化速度に及ぼす影響の基礎的研究
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03640660
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Research Institution | National Science Museum |
Principal Investigator |
谷村 好洋 国立科学博物館, 地学研究部, 室長 (80141985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 格 北海道大学, 理学部, 教授 (20029721)
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Keywords | 中新世 / 珪藻 / 進化速度 |
Research Abstract |
珪藻の進化速度と,14Maごろに始まり13.5-11Maころにピークに達する寒冷化やそれに伴う海洋大循環の活発化との関連について,その基礎的なデータを2年間にわたってだした.初年度は進化速度解析の材料であるThalassiosira yabeiグループの分類学的再検討やコアの選択,コアの生層序学的解析を行った.そして今年度は,初年度の研究を続けるとともに,形態変化速度が大きくなる層準の識別,その古海洋学的古生物学的解釈などを中心に研究を進めた.以下にその結果を列記する. 1)Thalassiosira yabeiグループから11のmorphotypeを識別した.A(=T.praeyabei);B,C(=T.grunowii);D,E,H(=T.tempereii complex);G(=T.mioplicata);I.J.K(=T.flexosa-yabei complex). 2)Thalassiosira yabeiグループの進化系列上のストックはT.praeyabeiである. 3)形態変化の速度が大きくなるのは中期中新世13-15Maの間である. 4)この2Maの間に,ストックであるT.Praeyabei,T.temperei complexの一部のmorphotypeを除いて他の全てのcomplex,種,morphotypeが出現する. 5)なかでも,Thalassiosira yabeiグループのなかで量的に大きな割合を占めるT.grunowii,T.flexosa-yabei complexは14-13.5Ma前後に出現する. 6)上記形態変化速度の変遷は,14Maごろに始まり,13.5-11Maごろにピークに達する寒冷化や,それに伴う北太平洋の海洋大循環の活発化,さらにそれと連動する珪藻生産の増大と有性生殖による増大胞子の活発な形成が密接に関連するものと推定される.
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