1991 Fiscal Year Annual Research Report
含ニッケル・ラテライトプロファイルの風化過程における元素の挙動
Project/Area Number |
03640672
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
小倉 義雄 三重大学, 教育学部, 教授 (60194528)
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Keywords | ラテライト化作用 / 風化作用 / サプロライト / ガ-イエライト / 針鉄鉱 / X線回析 / リオ・チバ鉱山(比島) / ヒナトワン鉱山 |
Research Abstract |
ラテライト化作用のメカニズムは極めて複雑で、多くの要因が組み合わされており、同一のニッケル・ラテライト鉱床においても水平的・地下深度別によるプロファイルでの元素の濃集度や構成鉱物に差異がみられ、普遍的な法則性を見出すことは困難である。 本研究では比島のリオ・チバおよびヒナトワンニッケル鉱山におけるラテライト・ガ-ニエライト層での構成鉱物・化学組成・性状・生成過程などの比較検討を行っている。 ラテライト層では、リオ・チバ鉱山で深度が増すにつれて構成鉱物のX線回析ピ-ク強度が弱く、ブロ-ドになっていくに対して、ヒナトワンではその強度が大きく形もシャ-プになる傾向を示し、風化進行過程での差がみられ、基盤岩の迸入時期、地形、気候などの諸因子の影響も考えられる。 両鉱山での深度別の化学組成の元素の挙動にはほとんど差がみられないが、ラテライトからサプロライト層にかけて一般的にFe,Mn,Al_2O_3の減少、Ni,MgO,SiO_2の増加がみられ、この増減は両者の境付近でいちじるしい。Ni成分はサプロライト層で当然高くなるが、ヒナトワン鉱山では特に同層中で局部的に濃集している部分がみられる。またPH値はその化学成分と関連しているようで、ラテライト層ではその値が低く、サプロライト層では高くなっている。両鉱床とも構成鉱物はラテライト層では針鉄鉱が主で多少のクロム鉄鋼を含む。サプロライト層にみられるガ-ニエライトにはX線的に7Åを示す蛇紋石類似、10Åの滑石類似鉱物がみられ、それらの7Å型はNiーchrysotileーPecoraite,NiーLizarditeーNepouite、Antigoriteまた10Å型はKeroliteーPimeliteであると考えられる。その他に7・10Åの混合型に分類されるガ-ニエライトも両鉱山に少量みられ、これらの含ニッケル鉱物の生成条件の差異を検討している。
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