1991 Fiscal Year Annual Research Report
水系に流入した石質火砕流ー実験火山地質学的アプロ-チ
Project/Area Number |
03640673
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宇井 忠英 神戸大学, 理学部, 教授 (10007164)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 桂子 神戸大学, 理学部, 助手 (20192544)
|
Keywords | 火砕流 / 石質火砕流 / 火山 |
Research Abstract |
高温の火砕流堆積物や火山泥流堆積物の一部にはパイプ状の淘汰のよい構造が認められる。中部地方の焼岳火山の中尾川火砕流とよばれる堆積物も、火山泥流岩相中にこの構造を持つ部分がある。この堆積物では高温から急冷したと思われる岩塊の上にパイプ構造を生じており、火砕流が大量の水と混合して泥流に移行し、堆積後に水が気化してパイプ構造をつくったと推定される。 本研究ではこの火砕流堆積物試料がガラス容器に入れ、水を加えてから加熱してパイプの形成条件を探った。温度、加熱時間、含水量を計測し、実験の経過をビデオ撮影した。 火砕物試料の上に水が溜るような含水状態では、試料容器の中で水の沸騰が始まると水蒸気の上昇路に直ちにパイプ構造ができ始める。細かな火山灰は直ちに吹き上げられて水中を漂い、堆積物上に次第に沈降する。パイプの太さが砂粒よりも太くなると、砂粒はパイプの内部で回転しつつ上昇する。砂粒はロ-ト状の開口部で堆積するが、次第に内部に崩れ落ちる。水が次第に蒸発して水面がなくなると砂の運動は停止して、水蒸気が立ち昇るだけとなり、パイプ構造の形成は止まる。 見かけ密度が1.5から1.8の中尾火砕流の試料ではパイプ形成が止まった時の含水量は9.9から12.1%であった。比較のために発泡のよい大規模火砕流試料で行った実験では、パイプ形成が止まった時の含水量は、20wt%程度であった。この違いは発泡した隙間を埋める水が余分に必要なためである。従って水の蒸発によるパイプ構造は本質岩片の発泡度の低い火砕流ほどでき易いといえる。なおこの含水量は単位時間当りの加熱量や実験開始時の含水量には依存しない。
|
Research Products
(1 results)