1991 Fiscal Year Annual Research Report
高圧高温下におけるマントル物質の変形実験と粘性率の決定
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03640676
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐藤 博樹 岡山大学, 地球内部研究センター, 助手 (50215828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 英司 岡山大学, 地球内部研究センター, 教授 (00033259)
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Keywords | マントル / 変形実験 / 粘性率 / 高圧高温 / 超塑性 / βーMn_2TiO_4の分解生成物 / 転位密度 / 結晶粒成長 |
Research Abstract |
我々はポストスピネル転移により下部マントル最上部の条件(24GPa,1600℃)で生成された非常に細粒な(大部分3μm以下)分解生成物が、超塑性的となる可能性を示してきた。反射電子像の観察からペロフスカイトとマグネシオヴスタイトは、両者が交互に入り組んだ細粒の集合体となり、高温で長時間アニ-ルしても粒径がほとんで変化しないという実験結果が、金属やセラミクスについて報告されている。そこでスピネル分解反応によって、670ー700kmの深さで剛体的でサイスミックなスラブから、流動的でアサイスミックなスラプに変化することが可能である。このことは670ー700kmの深さでの急激な地震活動の減少と、700km以深でのアサイスミシティ-などを良く説明することを我々は示してきた。 そこで分解生成物の流動特性を調べるためアナログ物質としてβーMn_2TiO_4を用い、分解反応Mn_2TiO_4→MnTiO_3+MnOの相平衡図を作成し、MnTiO_3とMnOの混合物はポストスピネル相と全く同様に、非常に細粒で相互に入り組んだ配列をとることが反射電子像によって確認された。この観察結果からβーMn_2TiO_4がポストスピネル転移をシミュレ-トするために適切なアナログ物質であることを確かめた。また結晶粒成長を調べるため30分から3時間ほど試料を高圧高温下でアニ-ルし粒径変化を調べた。この様な短時間では粒径はほとんど変化しないことが解った。 また高圧高温下における変形実験を行うため,円柱状の試料を用いその上下に圧力媒体より硬いもの(アルミナなど)を周囲に塩化ナトリウムなどの柔かいものをつめ、圧力温度を安定させわずかに加圧した。この加圧過程において硬いものと柔かいものの圧縮特性の差を利用してβーMn_2TiO_4の分解生成物に変形を加え、変形を加えないものの反射電子像と比べた。その結果変形を加えたものは分解生成物の一部が非常に細長くのび、超塑性に特徴的なテクスチャ-をもつことが解った。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Hiroki Sato: "Viscosity of the upper mcmtle from laboratory creep and anelasticity measwements in peridotite at high pressure and temperature" Geophysical Journal International. 105. 587-599 (1991)
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[Publications] Eiji Ito and Hiroki Sato: "Aseismicity in the lower mantle汝by superplasticity of the descending slab" Notture. 351. 140-141 (1991)
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[Publications] 佐藤 博樹: "アセノスフェアの温度と部分溶融量ー高圧高温実験と地震のデ-タによる決定ー" 月刊地球. 13. 401-409 (1991)
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[Publications] 佐藤 博樹: "島弧におけるマグマの発生ー地震のQ値が示す新しいモデルー" 号外地球,上田誠也教授退宮記念論文集. 3. 101-105 (1991)
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[Publications] Hiroki Sato: "Thrmal structure of the mantle wedge beneath northeastern Japan:magmatism in an island arc from the combined data of seismic anelasticity and velocity and heat flow" Journal of Volcanology and Geothermal Research. (1992)
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[Publications] Hiroki Sato: "HighーPressure Research:Application to Earth and Planetary Scinces(Rheological structure of a subduction 2Dne:application of high PーTviscous and anelastic properties of mantle rocks)" Terra Scientific Publishing Company, (1992)
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[Publications] Eiji Ito and Hiroki Sato: "HighーPressure Research:Application to Earth and Planetary Sciences(Effect of phase transformations on the dynamics of the descending slab)" Terra Scientific Publishing Company, (1992)