1991 Fiscal Year Annual Research Report
電子線照射したイオン結晶における金属超微粒子の選択的強励起効果
Project/Area Number |
03650008
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
稲部 勝幸 金沢大学, 工学部, 助教授 (80019744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 昭一 金沢大学, 工学部, 助手 (70175503)
黒堀 利夫 金沢大学, 教育学部, 助教授 (90153428)
竹内 望 金沢大学, 工学部, 教授 (20035588)
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Keywords | 電子線照射 / 金属超微粒子 / イオン結晶 / 光吸収スペクトル / 強励起効果 / 瞬間測光 |
Research Abstract |
本研究の目的達成のための最初のステップであるNaCl単結晶中へのNa超微粒子の成形は、次の方法によった。まず単結晶ブロック(日本結晶光学(株)より購入)に約2MGyの高密度電子線パルス(エネルギ-20MeV、ピ-ク電流約200mA、パルス幅1.5μs)を照射し、その後結晶をへき開し、適当な熱処理を行った。 Na超微粒子の形成は光吸収スペクトルにおける2.10eV帯の観測によって確認できている。なお、電子線の照射には阪大・産研のLINAによるパルス電子線を用いた。 次に、熱処理に伴うNa超微粒子の形成過程における光吸収スペクトルの変化を各着色中心の吸収帯をガウス形に分離して詳細に調べ、F(負イオン空格子点に局在している電子)中心の複合体の中で4個のF中心が(lll)面内に集合した(F_4)_1中心がNa超微粒子形成の核となっていることを見い出している。 Na超微粒子の光吸収帯(2.10eV)を狭いエネルギ-幅の光で選択的に強励起して、Na超微粒子の粒径に対応するホ-ルバ-ニングに類似した現象を捉えるという点についてはまだ当初の目標に達していない。これは主にレ-ザ-パルス光源の時間的、空的的安定性に問題があって当初の計画に変更が必要だったことによる。しかし、現有のレ-ザ-パルス光源(N_2レ-ザ-励起、色素レ-ザ-、発振波長600nm)による、単パルス光(パルス幅約1.5ns)を用いて行った実験、すなわち、プロ-ブ光(スペクトル観測用光源)を分光器(島津・ボシュロム)、CCDリニア-センサ-(浜松ホトニクスS3904ー1024Q)とデジタル・ストレ-ジスコ-プ(岩通DS8613)を用いて瞬間測光することには成功している。また、予備実験においてプロ-ブ光と同じ波長(600nm)のポンプ光(強励起光)を照射した時、光吸収強度の減少を示していると思われるスペクトルの変化を観測しているが、確証は得られていない。
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