1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03650017
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
上浦 洋一 岡山大学, 工学部, 講師 (30033244)
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Keywords | シリコン / サ-マル・ドナ- / 酵素ドナ- / 赤外吸収 / ダブル・ドナ- / 酵素クラスタ- |
Research Abstract |
設備備品である赤外用連続フロ-式クライオスタットは10月に納入され,その立ち上げは11月に終了した. その後,この時点までに熱処理の終了した試料に対して低温での赤外吸収測定を行い,以下のような結果を得た. 1.Pをド-プしたCzochralski(CZ)シリコン結晶を470℃で短時間熱処理し,6.6Kで赤外吸収測定を行った.その結果,400〜500cm^<-1>の波数領域に多数の鋭い吸収ピ-クが観測された.これらは何種類ものdouble donorのfamilyであるthormal donor(TD)の浅い方のレベルの基底状態から励起状態への電子遷移によるものである. 2.これらのTDのピ-クは長時間の熱処理によりすべて消滅し,代わりにnew thermal donor(NTD)によると考えられるブロ-ドな吸収バンド(NTD°)が低波数側に現れた. 3.測定温度が高くなるにつれてNTD°バンドはその強度が弱くなり,それと共に新しい吸収バンド(NTD^+)が高波数側に現れた. 以上より,NTDに関して以下のような新たな知見が得られた.NTDはTDと同様に基底状態のエネルギ-が少しずつ異なるdouble donorのfamilyであり,NTD°バンドとNTD^+バンドはそれぞれ多数のdouble donorの浅いレベルと深いレベルの基底状態から励起状態への吸収線の重ね合わせから生ずる,これらのdouble donorは多種類の大きさの異なった酸素クラスタ-がら生じ,大きいクラスタ-ほど浅いドナ-といて働く.TDと異なる点は,クラスタ-のサイズが大きくクラスタ-の内部の誘電率が母体より大きくて,その結果基底状態および励起状態のレベルが浅くなる点である.
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