1992 Fiscal Year Annual Research Report
金属ーアルカリ原子吸着系の結合状態及び仕事関数の被覆度依存性に関する理論的研究
Project/Area Number |
03650025
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
加藤 友彦 福岡工業大学, 工学部, 教授 (90023217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大冨 賢一 福岡工業大学, 工学部, 助教授
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Keywords | surface / adatom / Alkali-adsorption / CPA / coverage dependence / effective interaction / work function |
Research Abstract |
この研究課題で,我々は金属表面のアルカリ金属原子の吸着の様相が被覆度に応じてどのように変化していくのかという問題を理論的に解明することを目的にしている。用いるモデルはLCAOの枠内であるが,通常無視される吸着原子の位置の不規則性,原子軌道間の非直交性を考慮できる枠組としている.研究の過程で,通常吸着原子間の相互作用は斥力であると信じられているのに反し,高い被覆度領域では引力になりうることが判明し,この問題の解明に研究の重点を移した.このことは数年前のTochihara等のLEED,EELSの実験結果の解釈と符合しており,これが事実とすれば、従来の実験解析は,大巾に修正されるべき事柄であるからである。従来は,吸着原子間の力として,双極子相互作用のみを考えていたのに反し,吸着原子間の電子遷移に起因する引力的な“凝集的相互作用"が高被覆度では重要になるということである. 平成3年度の研究において,既に予備的な計算は終っており,適当なパラメータを設定すれば,有効相互作用は中間の被覆度領域まで斥力,高被覆度領域では引力となることが分った.平成4年度においては,この結果を実験グループと検討すると共に,各種パラメータを,現実的に予想される値の範囲にしぼって再計算を行った。その結果,合理的なパラメータの設〓において,上記と同様の結果を得た。この結果については,Physical Review B15に投稿し,近く刊行される予定である. ここで扱っている問題は,不規則な吸着原子系のみならず,規則配列を示す吸着系の被覆度による構造変化の解釈にも,従来の考え方に大きな変更を求めるものである.
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Research Products
(1 results)