1991 Fiscal Year Annual Research Report
セラミックス被覆膜の密着性及び強度評価に関する破壊力学的研究
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03650060
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
塩澤 和章 富山大学, 工学部, 教授 (90019216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西野 精一 富山大学, 工学部, 講師 (00218174)
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Keywords | 窒化チタン / 物理蒸着法 / 化学蒸着法 / 被覆 / 疲労強度 / 残留応力 / き裂発生 |
Research Abstract |
炭素鋼S35Cに窒化チタン(TiN)を物理蒸着法(PVD)および化学蒸着法(CVD)で被覆した試料を作製し、被膜の強度と密着強度の関係を明らかにすることを通して、被覆処理材の強度に及ぼす被覆膜の影響について検討した。得られた主な結論は以下の通りである。 1.静的引張り試験の結果、PVD材の被膜の割れは引張りひずみε=0.37%で生じ、CVD材ではε=0.87%で生じた。 2.荷重制御の完全片振り引張り疲労試験(R=0)と完全両振り引張・圧縮疲労試験(R=-1)を行い、疲労寿命に及ぼす被覆膜の影響を応力比との関係で明らかにした。R=-1の条件では被覆処理材の疲労寿命は裸材のそれに比較して増加するが、R=0の場合高応力振幅域と低応力振幅域で傾向が逆転する。逆転を生ずる応力振幅は試験片材料の降状点とほぼ一致することから、ラチェット変形に伴う被膜の破壊とそれによるき裂の発生時期の加速によるものである。これらの点は電気ポテンシャル法によるき裂発生時期の検出を通して明確にし、被覆処理による疲労寿命の向上および低下の機構をき裂発生の点から提案した。 3.X線残留応力測定を実施した結果、PVD法、CVD法のいずれの処理法においても被覆膜中に大きな圧縮の残留応力が生じており、その値はPVD法による被覆膜のほうがCVD法のそれよりも大きく、被覆処理中の各材の熱膨張係数の差異のみでは説明できない。また、被膜下部の母材部には残留応力が認められないことから、残留応力発生の機構を今後検討する必要がある。 研究経費により、ひずみ制御式低サイクル疲労試験機の開発を行い、ひずみ制御下における被覆膜の破壊と疲労寿命の関係を明らかにする研究を継続中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kazuaki SHIOZAWA: "The Influence of Applied Stress Ratio on Fafigue Strength of Tin Coated Carbon Steel" Mechanical Behaviour of MaterialsーVI. 493-498 (1991)
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[Publications] 塩沢 和章: "TiN被覆炭素鋼の疲労強度に及ぼす応力負荷様式の影響" 日本機械学会論文集(A編). 57. 1687-1694 (1991)