Research Abstract |
本年度は,残留応力を導入したPMMAに対して三次元表面疲労き裂の伝ぱ実験を中心に行い,拡張された三次元き裂に対する寿命推定法を検証し,さらに,PMMAの透光性を利用してき裂開閉口の観察を行ったので,主にこれらについて以下に報告する. 計画(1)は,基礎デ-タの収集である.計画(2)および(3)は,PMMAに対する三次元表面疲労き裂の伝ぱ実験である.計画(4)は,応力拡大係数Kの算出である.これらは,いずれもほぼ終了し,寿命推定法の検証が行えた.寿命推定法の検証には,PMMAを3枚貼り合わせた試験片を用いた.すなわち,前後面圧縮中央部引張の試験片(CTC試験片)および前後面引張中央部圧縮の試験片(TCT試験片)を作製し,半楕円表面き裂の伝ぱ実験を行った。個々の実験結果に対して,残留応力場における三次元き裂に対する拡張された寿命推定法を適用し,その寿命推定結果と実験結果を比較した.その結果,CTC試験片およびTCT試験片のどちらの場合にも,推定結果と実験結果はよく一致し,拡張された三次元き裂の寿命推定法が,PMMAに対しても有効であることが確認された.また,実験の際に行ったき裂開閉口挙動の観察には,著者らが開発した新しい方法を主に用いた.それは,破面で全反射している光が,その破面の接触により透過することを用いて,開閉口挙動を観察する方法である.この方法で,破面が接触あるいは分離していく様子が観察され,き裂開閉口点をはっきりと判断することができた.ただし,破面の変形状態は定性的にしか調べることはできない。本方法によりき裂の開閉口挙動およびき裂形状に対する残留応力の影響を確認できた.なお,ニュ-トンリングを用いる方法も,来年度,再度行うことを検討中である.また,来年度予定の金属材料に対する場合も今年度に若干行ったが,報告は紙面の関係で来年度にまとめて行う.
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