1991 Fiscal Year Annual Research Report
組成の力学特性と内部構造を考慮した血管壁の力学的構成式の定式化
Project/Area Number |
03650084
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 英一 名古屋大学, 工学部, 助教授 (00111831)
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Keywords | 血管壁 / 構成式 / 内部構造 / 力学特性 |
Research Abstract |
血管壁に対する力学的構成式を定式化するために、1)血管壁構成成分の素材としての力学的性質のモデル化、2)血管壁構成成分が構造をなしたときの挙動のモデル化、3)各構成成分の構造体が結合したときの挙動のモデル化、の3段階に分けて検討を行った。まず第1段階では、血管壁は弾性線維、膠原線維、平滑筋の3種類の成分からなるものとし、弾性線維と膠原線維の力学特性は、これらの成分を多く含む組織に対する実験結果に基づいて、線形弾性体に対するフックの法則で近似した。一方、平滑筋の力学特性は、並列弾性要素、直列弾性要素、ならびに収縮要素からなるモデルで表した。このとき収縮要素は、アクチンとミオシンの合なる合う長さと筋力の関係を表す張力ー筋節長関係に基づいて、応力ーひずみーひずみ速度ー活性化パラメ-タ間の関係を定式化した。次に、これらの成分が構造をなす場合のモデルを構築するため、東と長谷川の血管壁構造モデルに基づいて、弾性線維、膠原線維のなす構造を3次元網目状であると仮定し、細胞状固体の力学を援用してモデルを構築した。平滑筋については、ら旋状構造をなしていると仮定して材料力学のばね理論に基づくモデルを定式化した。第3段階では、複合材料の力学の最も基本的な考え方を利用して、以上で定式化した3種類の構造モデルを並列的に組合せて最終的なモデルを定式化した。このとき、血管壁の力学的特性の部位差は、3種類の構成成分の成分比によって表現される。このようにして定式化したモデルを、多様な荷重を受ける種々の部位の血管壁に適用したところ、おおむね満足すべき結果が得られた。
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