1991 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロト-ム用ダイヤモンドナイフのイオンビ-ム加工に関する研究
Project/Area Number |
03650114
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
宮本 岩男 東京理科大学, 基礎工学部, 助教授 (10084477)
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Keywords | ミクロト-ム / ダイヤモンドナイフ / イオンビ-ム加工 / 原子間力顕微鏡 / 生物試料 / 損傷 / 切刃稜丸み半径 / 濡れ性 |
Research Abstract |
20keV程度の高エネルギのArイオンを用いたイオンビ-ム加工でクミロト-ム用ダイヤモンドナイフの切刃稜丸み半径を20〜30nmに鋭くできることを示してきたが、この実用化に際しては、イオンビ-ム照射によりダイヤモンドナイフの表面に生じた損傷層が問題になっている。これは、機械研磨で可能な限り切刃を鋭くしたダイヤモンドナイフ試料に1keVアルゴンガスイオンを上方より照射し、これを更に鋭くする方法により解決できることが分かった。しかし、この薄い損傷がダイヤモンドナイフの寿命に及ぼす影響についてはまだ検討していない。なお、これらの研究を通して、ダイヤモンドナイフは、単に切刃が鋭いだけでなく、そのすくい面と水との濡れ性が非常に大事であることが分かってきた。すなわち、ミクロト-ムでダイヤモンドナイフを用いたアクリル樹脂などで抱埋された生物試料を切削する場合、切削片を水面に浮かせるために切削は水の中で行われるが、機械研磨したダイヤモンドナイフの表面と水との濡れ性が良くないために切削片がダイヤモンドナイフのすくい面上を滑り難くなり、切削片がしわしわになりやすい。そこで、本研究では、AFM(原子間力顕微鏡、現在試作中)を用いたイオンビ-ム加工したダイヤモンド試料の表面を原子のオ-ダ-で観察し、イオンビ-ム加工条件と加工試料の濡れ性に関して詳細に検討し、ダイヤモンドナイフの切刃を鋭くし、かつダイヤモンドナイフのすくい面と水との濡れ性のよくなるイオンビ-ム加工条件を明らかにするとともに、AFMやSTMを用いたダイヤモンドナイフの切刃稜丸み半径の測定法についても検討するために、AFMの試作を行った。しかし、電気的な雑音などのためにダイヤモンドの原子像が得られるまでには至らなかった。したがって、AFMを用いたダイヤモンドナイフの切刃稜丸み半径の測定については検討出来なかった。なお、次年度は本学にAFMが設置されるので前述の検討を行いたい。
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