1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03650131
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
大野 信義 佐賀大学, 理工学部・機械工学科, 助教授 (00039265)
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Keywords | ヘルツ接触 / 潤滑領域図 / 体積弾性係数 / 自由体積 / トラクション / ころがり軸受 / 固・液転換潤滑 / 固化 |
Research Abstract |
得られた主要な結果を以下に要約する。 (1)Greenwood図にHamrock-Dowson図を結合した潤滑領域図に潤滑油の固・液転換条件まで総合した固・液転換潤滑領域図でPE(高圧粘度-弾性体面)とPR(高圧粘度/剛体面)の境界にHoupertの修正を加えると、観測された油膜形状と良い一致が認められた。また、実験で求めた最小膜厚等高図から、弾塑性固体領域では、ニュートン流体を仮定して求めた理論値よりも40%程度厚膜になることが分かったので「20th Leeds-Lyon Symposium on Tribology,1993-9,Lyon,France」で報告すべく原稿を送付した。 (2)弾性流体潤滑(PE:高圧粘度-弾性体面)下の潤滑油のトラクション特性は潤滑油の分子自由体積に依存する体積弾性係数と密接な関係があり、体積弾性係数が大きいほど最大トラクション係数も大きくなることが分かった。また、この関係は弾塑性固体領域(αp>25)でも成り立つことが確認された。なお、弾性変形を伴わないPR(高圧粘度-剛体面)領域では弾性流体潤滑領域に比べ、最大トラクション係数が低下することが分かった。したがって、固・液転換潤滑領域図はトラクション係数を推定する基礎図としての使用も可能であることが分かったので「トライボロジスト」に投稿している。 (3)弾塑性固体化後の体積弾性係数が小さく(軟らかい)、延性挙動を示すパラフィン系鉱油やポリαオレフィン(PAO)のスラスト玉軸受の寿命は膜厚比Λの増加とともに長寿命となる。一方、弾塑性固体化後の体積弾性係数が大きく(硬い)、脆性挙動を示すトラクション油では膜厚比Λが高いにも関わらず、短寿命を呈した。このトラクション油の短寿命が固化膜の破壊に起因することを、転がり軸受の油膜形成状態ならびに低温固化油の脆性破壊挙動から確かめた。また、高圧ヘルツ接触下で不可避的にスピンを伴うスラスト玉軸受では、軸受の摩擦係数、温度上昇ともに、弾塑性固体化後の体積弾性係数に依存し、体積弾性係数が高い油ほど、摩擦係数も温度上昇も高い値を示すことが分かったので「STLE Annual Meeting,1993-5,Calgary,Canada」で発表する。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] F.Hirano: "Fundamental Study of Static Sealing Characteristics of Solidified Oils High Pressure" in"Fluid Sealing",Dr.B.S.Nau,ed.,Kluwer Academic Publishers,Dordrecht,The Netherlands. 109-120 (1992)
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[Publications] 大野 信義: "ワックス添加油によるころがり軸受の寿命" トライボロジスト. 37. 598-604 (1992)
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[Publications] N.Ohno: "Bearing Fatique Life Tests with Oils Containing Wax Additive" Japanese Journal of Tribology. 37. (1992)
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[Publications] N.Ohno: "Bulk Modulus of Solidified Oil at High Pressure as Predominant Factor Affecting Life of Thrust Ball Bearings" STLE 1993 Annual Meeting,Calgary,Canada. (1993)
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[Publications] N.Ohno: "Diagrams for Estimation of the Solidified Film Thickness at High Pressure EHD Contacts" 20th Leeds-Lyon Symposium on Tribology,Lyon. (1993)
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[Publications] 平野 冨士夫: "トラクション油の自由体積に及ぼす溶解空気の影響" 日本潤滑学会トライボロジー会議予稿集 東京. 239-242 (1992)
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[Publications] 大野 信義: "高圧固化油の機械的性質とクリープ挙動について" 日本潤滑学会トライボロジー会議予稿集 東京. 247-250 (1992)
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[Publications] 平野 冨士夫: "油の固化領域における膜厚の計算図表" 日本トライボロジー学会トライボロジー会議予稿集 盛岡. 681-684 (1992)
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[Publications] 大野 信義: "スラスト玉軸受の寿命に及ぼす固化油の体積弾性係数の影響" 日本トライボロジー学会トライボロジー会議予稿集 盛岡. 745-748 (1992)
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[Publications] 平野 冨士夫: "粘度の自由体積理論の実測結果に基づく検討について" 日本トライボロジー学会トライボロジー会議予稿集 東京. (1993)
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[Publications] 大野 信義: "スラスト玉軸受の寿命に及ぼす油温の影響" 日本トライボロジー学会トライボロジー会議予稿集 東京. (1993)