Research Abstract |
近年,環境保護や省エネルギ-の観点から,自然エネルギ-の有効利用が活発に行われている。寒冷地においても,冬期冷熱をヒ-トパイプにより土壌に蓄え,低温貯蔵庫として活用するなど,冬期冷熱の有効利用が試みられており,その非定常状態での凍結・融解熱伝達特性を明らかにすることが重要な課題となっている. 本研究では,このような背景から,基本的なモデルである固体粒子と氷からなる矩形多孔質層を左垂直面から融解させた場合の融解挙動および非定常融解熱伝達に及ぼす加熱面温度および粒子径の影響について実験的検討を加えた.さらに,氷のみ場合の融解実験を行い,比較検討を試みた.実験粒子としては,直径2,5,16mmの3種類のガラス球を用いた.融解実験は,凍結多孔質層の初期温度を0℃一定とし,加熱面温度が4,8,14,20℃の場合について行い,容器内温度および加熱面での熱流束の経時変化を4時間測定した. その結果,本研究の実験範囲内で以下のことが明らかになった. 1.粒子径が大きく加熱壁面温度が高い場合,融解量は下部に比べ上部で多く,氷のみを融解させた場合と同様の傾向を示す.しかし,加熱面温度が低い場合は、融解界面形状は加熱面とほぼ平行となっており,密度逆転にともなう流れの影響は小さいことが分かった. 2.粒子径が大きい場合,加熱面におけるヌセント数は,融解開始直後では大きな値を示すが,時間の経過と共に急激な減少を示す.その後,ヌセント数は最小値を示した後,対流の発生により加熱面近傍の温度匂配が増大するため,ヌセント数は増大する傾向を示す. 3.粒子径が小さい場合,顕著な自然対流の影響は見られず,加熱面におけるヌセント数は,時間と共に単調に減少し,融解領域内の熱移動が伝導伝熱で行われるとした場合の伝導解と同様の傾向を示す.
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