1992 Fiscal Year Annual Research Report
クラスターイオンビームと固体との相互作用に関する研究
Project/Area Number |
03650266
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
山村 泰道 岡山理科大学, 理学部, 教授 (10068900)
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Keywords | 計算機シミュレーション / 2体衝突近似 / 加速効果 / つゆはらい効果 / 時間発展型シミュレーション / 空間分布 |
Research Abstract |
クラスターイオンビームと物質との相互作用に関する研究は、最近、注目を浴びている分野のひとつである。分子動力学法・時間発展的2体衝突近似に基づく計算機シミュレーションによる解析も進み、いくつかの面白い結果も報告され始めた。本研究において開発したコードOYACAT(非晶系)とDYACOCT(結晶系)は、2体衝突近似の枠組の中で固体内原子衝突をシミュレーションするコードで、分子動力学的手法に較べて、圧倒的に計算時間が短かい。 平成3年度から4年度の科研費補助期間に成し遂げた成果のひとつは分子クラスターに対するシミュレーションが可能になった事で、(D_2O)クラスターをTiD固体に照射した場合の重水素原子の加速機構について解析し、クラスター衝突核融合についてブルックヘブン研究所で行った条件下ではその可能性の薄いことが平成4年の物理学会で報告した。 また、一連のクラスターに関する一連の論文が評価され、平成4年ドイツのベルリンで開催されたCOSIRESの国際会議において招待講演を勤めると共に、国際組織委員会の委員としてCOSIRESの運営にあたることとなった。 また、クラスター原子が標的原子より重い場合には、先行原子がクラスター原子ではなく標的原子であることを発見し、Phys.Rev.Lett.に投稿受理され、この仕事に対する評価により、国内外の雑誌から、解説の依頼があり、現在、3本のレビューを執筆中である。また、NATOの支援で開催の予定(平成6年5月、於ミラノ、イタリア)のInternational School of Solid Stateの講師の依頼を受けている。
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[Publications] Y.Yamamura: "Computer Simulation of Cascade Damage in Metals" J.Nucl.Mater.179/181. 94-98 (1991)
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[Publications] Y.Yamamura: "Energy Distributions of Constituent Atoms of Cluster Impacts on Solids" Nucl.Instr.Methods. B62. 181-190 (1991)
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[Publications] 山村 泰道: "クラスターイオンと固体の相互作用" IONICS. 11. 13-20 (1991)
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[Publications] 山村 泰道: "クラスターイオン照射のシミュレーション" 真空. 35. 33-41 (1992)
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[Publications] Y.Yamamura,T.Muramoto: "Depth Profiles due to Big Cluster Impacts" Phys.Rev.Lett.69. 1463-1466 (1992)
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[Publications] Y.Yamamura T.Muramoto: "Time-Evolution MC Simulation of a few 100ev/atom Cluster Impacts" Rad.Eff.Cryst.Defects.
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[Publications] 山村 泰道 他: "イオン工学の基礎" 内田老鶴圃,