Research Abstract |
本研究では,感光磁性半導体PMS(Photo Magnetic Semiconducror)の材料開発と作製法の改善について検討し,その特性評価を行った.PMSは,磁性半導体液を厚膜に成形して表面に放射吸収物質を塗布した感光素子であり,その磁気特性は可視光線に応答する.PMSの材料として当初,フェライトとルテニウム化合物を使用したが,ルテニウム化合物は高価であり,作製費が高くなる欠点がある.そこで,ルテニウム化合物の代わりに,無機バインダを混入する方法を考案した.無機バインダとしてガラスペーストを用いたところ,ルテニウムを用いた素子と同等の光感度が得られた.しかし,この方法は850℃の高温で焼成する必要があり,作製工程が複雑で,作製に長時間を要する.また,材料の混合比や焼成工程で,クラックを生じることがあり,作製に困難が伴う欠点がある.そこで,バインダとしてポリマーを用いる方法を検討したところ優れた感光特性をもつPMSが得られた.この方法は,フェライト粉末に,ポリマーを混入し,溶剤を加えてスクリーン印刷して,乾燥を行うものである.ポリマーとして,エポキシ,ポリビニルアルコール,酢酸ビニルなどが用いられる.溶剤として,エチルアルコール,水,シンナーなどが,基板には,プラスチックやアルミナ板などが使用できる.本方法は高温度で焼成する必要がなく,作製も短時間ですむ利点がある.ポリマー磁性半導体感光素子は柔軟性があり,任意の形状に成形できるなどの加工性に富んでいる.また,PMS表面が均一に印刷されてクラックの発生がなく,カーボンブラックや白金黒などの放射吸収物質の塗布が容易に行える.したがって焦性効果を高め,光エネルギーの吸収を改善することができた. 以上より,ポリマーを用いた新しいPMSの作製法を検討し,焼成型PMSに比べて光応答が鋭敏な高感度感光素子を開発した.
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