1991 Fiscal Year Annual Research Report
塩害を受けたPC構造物の補修工法における電気防食の利用に関する研究
Project/Area Number |
03650394
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
武若 耕司 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (10155054)
|
Keywords | プレストレストコンクリ-ト構造物 / 電気防食 / 塩害 / 補修工法 / 防食基準 / 陽極システム / 過防食 / 水素脆化 |
Research Abstract |
本研究では、最近、コンクリ-ト構造物の塩害補修工法の決め手として高い注目を集めている電気防食法を取り上げ、この方法のプレストレストコンクリ-ト(以下、PC)構造物への適用性について検討を行っている。本研究は、2年間の研究期間を設定して実施しており、今年度はその1年目にあたる。これまでの研究では、まず(1)RCおよびPCを含めた、いわゆるコンクリ-ト構造物への電気防食を施す場合の現行の防食旧準の見直しを行い、さらに、(2)通常の鋼材に比べて組織過敏性であるPC鋼材および、これを使用したPC構造部材おける通電の影響、(3)電気防食として外部電源方式のシステムを適用する場合の施工上の問題点等について検討を行った。また、実用上の問題点を把握するために、(4)実構造物に即した種々の状況を考慮したPC部材へ電気防食を施し、この部材の腐食実験も開始した。これらの検討結果を取りまとめると次のようである。 1.コンクリ-ト構造物に電気防食を施す場合に確実な防食が可能な鋼材分極量は、外部環境条件やコンクリ-トの状況などを考慮とすると、少なくとも150〜200mV程度は必要である。 2.通電量が同じであってもPC鋼材の緊張力の違いにより分極特性が異なる可能性があり、PC部材では、RC部材以上に通電条件の設定には慎重な対応が必要である。 3.過防食に対してはRC部材以上に注意が必要である。電流量が極端に大きくなった場合にはPC鋼材の耐力低下が確認され、しかも、高強度のコンクリ-トを使用するPC部材では、過防食時に鋼材周辺に発生した水素ガスが内部に蓄積し、その圧力によってコンクリ-トにひびわれ発生する可能性が高い。 4.陽極システムはできるだけ補修箇所全面に配置し、やむを得ない場合でも陽極間隔は20〜30cm以下とする。
|