1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03650400
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
川上 浩 信州大学, 工学部, 教授 (00020967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 廣史 信州大学, 工学部, 助手 (00021014)
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Keywords | 切取り斜面 / 斜面安定 / 計測施工 / 伸縮計 / 労働災害 / 土砂災害 |
Research Abstract |
土留壁設置工事中に土砂崩落が生じ,労働者が死亡する事故が多発している。この種の事故は,建設工事中の事故の中でも交通事故につぐ第2位の原因となっている。この事故を皆無とするために,切取り斜面に簡単な伸縮計を設置して,危険予知を可能ならしめるものである。 長野県土木部に協力を求めて,高さ5m以上の切り取り斜面219か所のうち,74か所に145台の伸縮計を設置した。約一年の間にわずかでも移動を記録したものは13台である。そのうち,1時間4mm以上の移動を示し,警報器が作動したものは5台であった。そのうちの1か所については,労働者が崩落に巻き込まれないですむ警報として役立っている。このように土砂崩壊は確率的には極めて低いもので,1%に満たない率で警報が役立っている。したがって,計測器設置は極めて効率の悪いやり方であるともいえるが,人命尊重の立場から手段を尽くすのは当然である。 また,多くの斜面で計測が実施できた結果,単に危険回避だけでなく,工事の進行の上にも役立つ情報が得られることを確認している。目視ではわからない斜面の変状を計測できること,1時間4mmのしきい値で十分対応できること,危険な状態の時は作業を休み天候の回復をまって作業ができること,危険をいち早く察知でき早期に対策の立案が可能であること等である。 計測により支保工を決定するNATM工法がトンネル工事に導入されて,トンネル工事が進歩したように,切取り斜面の工事においても,計測を日常化することにより工事を進歩させ得る,その基礎資料を提示できたと考える。
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