1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03650400
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Research Institution | SHINSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
川上 浩 信州大学, 工学部, 教授 (00020967)
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Keywords | 切取り斜面 / 斜面安定 / 計測施工 / 伸縮計 / 労働災害 / 土砂災害 |
Research Abstract |
土留壁設置工事中の切土斜面で土砂崩落が生じ,労働者が死亡する事故が多発している.この種の事故は,建設工事中の事故の中でも交通事故につぐ第2位の原因となっている.この事故の減少を計るために,切取り斜面に簡単な伸縮計を設置して,危険予知を可能ならしめる方法を研究した. 2年間にわたり,長野県下の土木工事現場において,高さ5m以上の切り取り斜面において,斜面の変状について調査した.目視によりいささかでも危険を察知して伸縮計を設置した斜面は,全体の約30%であり,伸縮計に異常が認められたのは6%であった.さらに,1時間4mm以上の移動を示し,避難警報が鳴ったのは2%である.そして実際に人命救助に役立ったのは0.4%である.長野県下だけでもこの種の工事は,市町村道を含めると数千か所にのぼると見られ,その中で年に一度か二度の事故であることから考えれば,妥当な数値ともみられる.このように土砂崩壊事故は確率的には極めて低いもので,0.1%程度のものである.したがって,計測器設置は極めて効率の悪いやり方であるともいえるが,1台20万円の機械は工事費に較べれば軽微な支出であり,人命保護の立場から手段を尽くすのは当然である. また,多くの斜面で計測が実施できた結果,単に危険回避だけでなく,工事の進行の上にも役立つ情報が得られることを確認している.目視ではわからない斜面の変状を計測できるので対策も早く立案できる.また,伸縮計の警報のしきい値として,1時間4mmの値で十分対応できることがわかっている. しかし,一方では毎日変状が進み,警報が鳴り響くためにうるさくて仕方がないといって,測定器を外した現場もある.報告には,多くの現場事例をとりまとめている.
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