1991 Fiscal Year Annual Research Report
任意境界形状における砕波変形の内部機構とその数値計算手法の開発
Project/Area Number |
03650428
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
滝川 清 熊本大学, 工学部, 助教授 (80040450)
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Keywords | 砕波変形 / 砕波の内部機構 / 数値シミュレ-ション / GSMAC法 / FEM / SMAC |
Research Abstract |
〈実験的研究〉砕波変形過程におけるエネルギ-逸散の機構およびその数値計算の為の数理解析モデルの提示を目的として、まず一様勾配斜面上での砕波過程の実験を行った。電磁流速計,波高計,ビデオ撮影装置等を用いて、砕波の内部諸量と波変形の特性を時間的および空間的に詳細に調べた。今回購入のFFTアナライザ-等を用いて、水面波形,流速,さらに渦度,歪度の特性やこれ等の自己および相互相関などのスペクトル特性を調べた。これらの結果、(1)渦度,歪度およびReynalds応力項は砕波点以前およびTrough levelより下層部では小さく,その時間的変動は波運動として解釈できる。(2)波上層部のSurface layeスでは各々の値も大きく,その出現位相はほぼ水位変動と一致し,相互の相関性が高い事が分り、従来と同様に砕波過程においてポテンシャル領域と非ポテンシャル領域とが存在する点が確認できた。更に(3)Surface layerにおけるエネルギ-逸散は,歪度,渦度と強い相関にあり,また砕波に伴う流体塊の突っ込みによる大きな渦度の発生とその移動に関連しており、数値モデルには、これらを考慮すべきである事を明らかにした。 〈理論的研究〉砕波後の変形過程を計算する為には、流体を粘性流体として取り扱う必要がある。この為に、まず筆者が示したFEM解析結果を初期条件とし、SMAC法に実験結果より考案したエネルギ-逸散の数値モデルを導入し解析を行った。砕波の渦運動や乱れに伴うエネルギ-逸散をPlandtl型の表現を用い(但し混合長には渦半径の概念を導入)また流体塊の突入に伴う乱れの急激な変化に対しては歪度の時間変化項による数値モデルを考案した。計算結果は極めて良く実験と一致して得られ、砕波過程におけるエネルギ-分布,波圧分布等の時空間変動特性について検討した。なお、任意形状での砕波に対しても解析する為に、現在、その理論展開とプログラムを作成中である。
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[Publications] 滝川 清,他3名: "斜面上の砕波変形過程の内部特性とその数値解析" 海岸工学論文集. 38. 61-65 (1991)
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[Publications] Kiyoshi Takikawa: "Development of Numerical Analysis System of Deformation and Breaking wave on Sloping Bottom" International Journal for Numerical Methods in Fluids.
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[Publications] 滝川 清: "任意境界形状における砕波変形過程の内部特性とその数値解析" 土木学会論文集II.