1991 Fiscal Year Annual Research Report
技術革新を内生化した実用的地域動学モデルに関する研究
Project/Area Number |
03650437
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
小林 潔司 鳥取大学, 工学部, 教授 (50115846)
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Keywords | 技術革新 / 動的産業連関モデル / 内生的技術変化 / 実用的動学モデル / R&D / 多部門成長モデル |
Research Abstract |
本研究では、社会資本投資、知識基盤投資が産業構造の短期的・長期的変動過程に及ぼす影響を把握するための実用的な地域動学モデルを開発することを目的としている。従来より、一般的衡理論に基づく多部門成長モデルに関しては数多くの研究事例がある。中でも、レオンティエフ等による動的IOモデルは代表的な分析モデルであり、その実用化の方法論に関しても研究の蓄積かある。産業連関分析における投入係数、資本係数の動的安定性については種々の批判的検討がなされてきた。しかし、企業の研究開発活動を明示的に考慮しながら、産業構造の変動を内生的に説明しうるような地域動学モデルに関する研究はほとんど進展していない。そこで、本研究では、レオンティエフ等による動的IOモデルの枠組の中で、殺人係数、資本係数が中間財価格や社会資本の整備状況に対応して、内生的に決定されるような地域動学モデルを開発した。このうち、本年度では、企業の長期的な研究開発行動に関するミクロ経済学的分析を試み、投入係数、資本係数が企業の最適化行動の結果として内生的に決定されるメカニズムについて理論的に考察した。一般に、技術変化を内生化した地域動学モデルは高度の非線形性を有するために動学モデルの安定性に関する検討が不可欠である。このような安定性の検討に関しては、モデルが複雑になればシミュレ-ションに頼らざるを得ない。したがって、初年度ではこのようなシミュレ-ション分析を通じて、地域動学モデルのプロトタイプモデルを開発するとともに、プロトタイプモデルの動学的挙動をシミュレ-ション実験を通じて明らかにした。さらに、国土レベルでの交通幹線、国際航空網の整備、さらに学術研究機関、知識生産拠点等の整備が産業構造の高度化に果す影響を分析する方法を提案した。来年度は以上の理論的研究の成果を踏まえ、実証的な研究に着手する予定である。
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