1992 Fiscal Year Annual Research Report
京都臨済宗寺院の近世景観への復原と建築遺構の評価に関する研究
Project/Area Number |
03650505
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
永井 規男 関西大学, 工学部, 教授 (00067604)
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Keywords | 京都 / 景観 / 境内 / 臨済宗寺院 / 五山 / 建築 / 近世 / 林下 |
Research Abstract |
今年度は、(1)昨年度調査収集した資料の整理、(2)それらの資料にもとづいた諸寺院の近世景観への復原、(3)未調査寺院の資料調査、(4)関連する地方寺院の調査、を目標とした。(1)については、天龍寺・東福寺・建仁寺の分をほぼ終了することができた。(2)については昨年の相国寺につづいて妙心寺・東福寺・建仁寺の近世の境内構成の復原を試みた。そのうち妙心寺に関しては17世紀中葉以前の拡大以前の伽藍地の復原案を作成し発表している。東福寺・建仁寺に関しては境内絵図や塔頭図などをもとに近世中後期の境内地図を復原作成し、細部を検討中である。天龍寺も目下検討中である。東福寺・建仁寺は境内地の構成に共通性が認められたが、さらに調査を加えて中世期の様相が解明できれば、日本の初期禅院の寺地構成の性格を浮び上がらせる得ることも不可能ではないと予測される。(3)については南禅寺の資料調査を予定していたが、事情があって延期せざるをえなかった。ここについては平成五年度に予定している。(4)については東海地方を中心にいくつかの主要禅寺の寺地構成や建築について調査をおこなった。 これまでの調査の結果では、近世前期に遡る境内図その他の関連資料は予想以上にすくなく、近世前期およびそれ以前の境内構成を復原するためには、絵図類以外の雑記、日記等の文献等を必要とする。しかし、これらのもので史料集などとして刊行されているものはなく、それらの調査解読には多大の時日を必要とすることが研究上でいささか困難をきたしている。平成五年度は、南禅寺の資料調査を行い、また研究の全体的な取り纏めをする予定である。
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