1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03650541
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
森永 健次 九州大学, 大学院総合理工学研究科, 教授 (70038074)
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Keywords | 酸フッ化物 / 融体 / 導電率 / 蛍石構造 / 酸素分圧 / 正孔 / マーデリング定数 / 規則性 |
Research Abstract |
CaO-CaF_2、SrO-SrF_2及びBaO-BaF_2系融体において、≦20mol%MO(M=Ca、Sr、Ba)の組成領域で、導電率が酸素分圧に依存して可逆的に変化した。導電率は酸素分圧の1/4乗に比例して増加した。この組成領域では実体顕微鏡による融体の直接観察から、融体の外観が透明から不透明へ可逆的に変化することを確認した。これらの新しい現象は融体中に存在する液体格子へ雰囲気中の酸素がイオンとして溶解し正孔が生成することに起因しているものと考えられる。このような現象が起こる条件としては以下のことが挙げられる。(1)CaF_2、SrF_2およびBaF_2はマーデリング定数が大きな蛍石型構造をとり、MF_2量が多い融体ではかなりの規則性をもつ液体格子を作る。(2)CaO、SrOおよびBaOを添加すると、これらはそれぞれの液体格子に組み込まれ、F^-とO^<2->イオンの電荷の差から正孔を生成する。この正孔はM-F間クーロン力が弱いBaF_2において生成しやすいことがわかった。(3)この陰イオン空孔に、あるしきい値以上の酸素分圧で雰囲気中の酸素がイオン化溶解し、電荷バランスのために正孔を生成する。この正孔の量は、導電率の酸素分圧依存性から推定して、酸素分圧の1/4乗に比例するものと考えられる。しか、正孔のすべてに酸素が溶融すると正孔は飽和値を示し、導電率も一定値に近づく傾向を示した。また、MOの量が多くなるとMF_2が形成する液体格子が崩壊するため、上記の可逆変化は観察されないことがわかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 武部 博倫、太田 能生、森永 健次: "Existence of Liquid Lattice in MO-MF_2 Melts" Proceedings of 4th International Conference of Molten Slags and Fluxes (Molten Slags & Fluxes '92). 39-43 (1992)
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[Publications] 武部 博倫、太田 能生、森永 健次: "Positive Hole Formation in MO-MF_2 (M=Ca,Sr,Ba) Melts" Proceedings of International Symposium on Molten Salt Chemistry and Technology-1993. (1993)