1992 Fiscal Year Annual Research Report
凝固組織制御による圧延ロール用高クロム鋳鉄の耐摩耗性・靭性の改善
Project/Area Number |
03650550
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Research Institution | UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
池田 実 東京大学, 工学部, 助手 (50167243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹羽 直毅 東京大学, 工学部, 助教授 (30011208)
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Keywords | 高クロム鋳鉄 / 凝固組織制御 / 鋳鉄の耐摩耗性 / 鉄鋼圧延ロール |
Research Abstract |
高クロム鋳鉄は耐磨耗性に優れ鉄鋼圧延ロールとして使用されている。しかし製品の高品質化、大圧下圧延、省エネルギー等の要求により耐摩耗性の向上が重要となっている。そこで、高クロム鋳鉄の機械的性質、耐摩耗を左右する因子の一つであるCr/C比をこれらの特性のよい点で固定して、M_O量を1〜10%と変化させた。 Mo量1〜10%の増加によって共晶炭化物質は33%〜51%と増加した。またM_<O2>C炭化物量においても0.6〜18%と増加した。M_O量の増加にしたがって、摩耗量が90g〜31gと減少し特性が改善されたのはこの炭化物量の増加に起因することがわかった。しかし、M_O量の増加により引張強度440〜200MPaの減少、破壊靭性値28〜12MPa・m^<1/2>の減少が生じた。圧延ロール使用上から総合的に考えると引張強度及び破壊靭性値のあまり減少しないところで摩耗特性の良いところを選び、共晶炭化物量としては35%近傍が望ましい。 摩耗試験後のSEMによる摩耗表面観察結果から摩耗進行状態を考えてみると、最初マトリックスのアブレーション摩耗が進行し、その後残存クロム炭火物に亀裂が生じしだいに欠落し、微細共晶M_<O2>C炭火物が最後まで残存する様子がわかった。これより微細共晶M_<O2>C炭化物量が摩耗特性改善に大きく起因していることから考えると、総炭火物量を増加させずにM_<O2>C量を増加させることが特性向上に必要と思われる。従って、Cr/C比とM_O量の関係を再度考慮しなおと、さらに特性の向上が期待出きそうである。
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