1991 Fiscal Year Annual Research Report
高圧力処理によるクロムの延性ーぜい性遷移温度低下機構の解明
Project/Area Number |
03650556
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大森 正信 広島大学, 工学部, 教授 (90034321)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 達夫 広島大学, 工学部, 助手 (00233338)
吉田 聡仁 広島大学, 工学部, 助教授 (50016797)
|
Keywords | 焼結クムロ / 衝撃圧処理 / 降状応力低下 / 延性ーぜい性遷移温度 / 自由転位 |
Research Abstract |
HIP処理によって作成した焼鈍クロム焼結体(理論密度に達している)から切りだした短冊状試料に水中において爆薬(SEP)により930または1420MPaの衝撃圧処理を施してから注意深く切削加工して引張り試験片を作った。この試験片を2種類のひずみ速度1.7×10^<-5>および1.7×10^<-4>S^<-1>で引張り試験に供した。本研究で現在までに得られた結果はつぎのように要約できる。 (1)衝撃圧処理により降状応力はいちじるしく低下し降状点伸びが消滅した。このことは,フロム中の弾性不連続場所(第2相とマトリクスの界面など)で自由転位の生成を伴うミクロな塑性変形が生じることによるものと解択された。 (2)930および1420MPaでそれぞれ衝撃圧処理した試料の延性ーぜい性遷移温度は焼鈍試料の遷移温度に比べていちじるしく低下した。たとえば,930MPa処理試料のひずみ速度1.7×10^<-5>および1.7×10^<-4>S^<-1>における遷移温度は,それぞれ290K(室温)と403Kで,焼鈍試料の遷移温度よりそれぞれ約250および170K低温側にあった。 (3)延性からぜい性への遷移が降状応力δ_yとぜい性破壊応力δ_Cが等しくなるときに起るものと仮定すると,衝撃圧処理によって降伏応力が低下した試料の延性ーぜい性遷移条件δ_y=δ_Cは降状応力が大きい未処理試料(焼鈍のままの試料)の場合より低温側で満足される。すなわち,衝撃圧処理により遷移温度が低下するのは降状応力が低下したことに由来するものと解釈できる。
|