1991 Fiscal Year Annual Research Report
エレクトロルミネッセンス測定による金属および半導体のアノ-ド酸化に関する研究
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03650561
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
瀬尾 眞浩 北海道大学, 工学部, 教授 (20002016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安住 和久 北海道, 工学部, 助手 (60175875)
高橋 英明 北海道, 工学部, 助教授 (70002201)
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Keywords | エレクトロルミネッセンス / 発光スペクトル / P型Siのアノ-ド酸化 / アノ-ド酸化皮膜 / シリカ皮膜 |
Research Abstract |
1.暗箱、石英光学窓付きの電気化学セル、分光器、フオトンカウンタ-、ライトチョッパ-、パ-ソナルコンピュ-タ-を組み合わせたエレクトロルミネッセンス自動計測系を作成した。 2.KNO_3を含むエチレングリコ-ル溶液中でp型Siの定電流アノ-ド酸化ならびに定電位アノ-ド酸化にともなう発光スペクトルの測定をおこなった。発光スペクトルは350nmと670nmにピ-クを持ち、そのピ-ク強度はいずれも30V以上で、アノ-ド酸化電位の増加とともに急激に増加する結果が得られた。各発光ピ-ク強度の対数とアノ-ド酸化電位のー1/2乗との間には直線関係が成立した。この関係はZnS等の半導体発光素子にみられるように発光が高電場で加速された電子の衝突による発光中心のイオン化と、その後の再結合によるものであることを示唆する。所定の電位まで定電流アノ-ド酸化後、定電位に保持するとアノ-ド電流および各発光ピ-ク強度は、ともに時間に逆比例して減少する結果が得られた。 3.エチレングリコ-ル溶液中に塩化物イオンを添加すると、定電流アノ-ド酸化の際、350nmの発光ピ-ク強度に比べ、670nmのピ-ク強度が増加することが確認された。しかし、塩化物イオンを0.1M以上添加するとアノ-ド酸化皮膜は破壊され、それと同時に発光強度は急激に減少した。アノ-ド酸化皮膜は、SiO_2と考えられ、SiO_2への塩化物イオンの侵入により、670nmの発光中心となる不純物準位がSiO_2のバンドギャップ内に形成されることが示唆される。 4.以上の結果より、エチレングリコ-ルの酸化によりSiO_2の伝導帯に注入された電子がSiO_2の高電場により加速され、発光中心に衝突し、発光中心をイオン化した後、再結合する発光機構が考えられる。なお、350nmにピ-クを持つ発光はSiO_2の伝導帯電子が下地Siの伝導帯へ落ちることによるものと推定される。
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