1991 Fiscal Year Annual Research Report
循還再生アルミニウム材の腐食に及ぼす不純物元素とその選択除去に関する研究
Project/Area Number |
03650563
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
世利 修美 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (60179356)
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Keywords | アルミニウム / リサイクル / 金属間化合物 / 電気化学 / 選択溶解 |
Research Abstract |
アルミニウムリサイクル分野の工学的基盤を充実させることを目的とした。具体的にはアルミニウム材料のリサイクル使用の際に将来問題として必ず浮上する不純物、特に鉄の影響を基礎的に研究し、その応用として金属間化合物eAl_3相の選択除去方法を模索した。 アルミニウム中の鉄はFeAl_3の形態を取る。電極電位(ー0.44+0.03×log{a(Fe^<2+>)/a(Fe)FeAl_3})より貴な電位で鉄成分は選択溶解する可能性がある。この仮説を発展させ、作製したAlーFe合金の分極特性から選択溶解条件を試行錯誤的に模索した。動電位法による繰り返し分極が有効であることが分かった。つまり、AlーFe合金を0.05M Al(NO_3)_3水溶液(脱気処理、溶液撹拌、室温)中に浸潰し、カソ-ド分極(ー3.0Vで10分間保持)後、直ちにアノ-ド分極(+1.0V)を施す方法である。この操作を分極曲線の形状がある一定の形状に収束するまで繰り返すと、表面に露呈するFeAl_3はほぼ完全に除去された。アルミニウム母地は比較的なだらかで激しい溶解の痕跡はなかった。処理後の陽極酸化皮膜生成については、目視観察では均一な灰白色を呈していた。SEM観察でも陽極酸化処理によって下地中のFeAl_3が露出する箇所は見られない。 本報による表面の高純度化は工業的に興味ある現象であるが、以下に挙げるような技術的な課題が存在する。(1)板厚内部のFeAl_3の分布状況の把握(2)平衡相FeAl_3以外の相、例えばFeAl_6等の非平衡相の挙動(3)第三元素の挙動、例えばけい素の混入によって生じるα(A1,Fe,Si)、β(Al,Fe,Si)の挙動(4)Al(NO_3)_3以外の電解質溶液での挙動(5)液温や液流動の影響(6)掃引速度や電位流波形の効果等が挙げられる。文論文は数多くの考えられる方法一つを提示し、その考察を試みたものにすぎない。実業界での今後の技術展開が期待される。
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