1991 Fiscal Year Annual Research Report
LPーMOCVDによる高耐食性人工不働態皮膜の形成
Project/Area Number |
03650565
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原 信義 東北大学, 工学部, 助教授 (40111257)
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Keywords | 化学気相析出法 / MOCVD / 人工不働態皮膜 / 耐食性 / エリプソメトリ- |
Research Abstract |
1.研究目的 有機金属化合物を原料とする化学気相析出法であるMOCVDによって各種の組成と構造を持つ人工不働態皮膜を作製し、皮膜の組成・組織・構造と耐食性の関係を明らかにすることを目的とする。 2.研究成果 (1)LPーMOCVD装置の作製: 3元系までの複合酸化物を合成することが可能な低圧(LP)ーMOCVD装置を作製した。 本装置には回転アナライザ方式の自動エリプソメ-タを組み込んだ。これにより、成膜中に膜厚をinーsitu測定して、皮膜の構造を任意に制御することが可能になった。 (2)Al_2O_3、TiO_2、Ta_2O_5およびZrO_2単独酸化物薄膜の耐食性評価:Al_2O_3、TiO_2、Ta_2O_5、およびZrO_2皮膜をPt基板上に形成し、5MーHClおよび5MーNaOH溶液中における溶解速度を測定した。成膜時の基板温度は350℃とした。溶解速度をエリプソメトリ-を用いて測定した結果、5MーHCl溶液中ではAl_2O_3〈TiO_2〈ZrO_2〈Ta_2O_5、5MーNaOH溶液中ではAl_2O_3〈TiO_2〈Ta_2O_5〈ZrO_2の順に耐食性は高くなることが分かった。 (3)Fe_2O_3ーCr_2O_3ーNiO複合酸化物薄膜の耐食性評価: ステンレス鋼の不働態皮膜を模擬した人工不働態皮膜として(Fe_2O_3)_<1ーx>(Cr_2O_3)_×〔O≦x≦1〕および(Fe_2O_3)_<1ー(y+z)>(Cr_2O_3)_y(NiO)_z〔0≦y+z≦1〕複合酸化物皮膜をPt板上に形成し、5MーHCl溶液中における溶解速度と皮膜組成の関係を調べた。(Fe_2O_3)_<1ーx>(Cr_2O_3)皮膜の溶解速度はxの増加と共に指数関数的に減少することが分った。(Fe_2O_3)_<1ー(y+z)>(Cr_2O_3)_y(NiO)_z皮膜については、y=0.2に固定してzを変えた時、z〉0.6にしないと溶解速度を低下させる効果は得られないことなどが伴明した。
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