1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03650566
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高杉 隆幸 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (20108567)
|
Keywords | 環境脆化 / 金属間化合物 / 水素脆性 / TiAl / Ni_3(Al,Ti) / Ll_2型 |
Research Abstract |
本年度以下の二つの項目に重点を置いて研究を進めた。 1.Ni_3(Al,Ti)単結晶の環境脆化の温度依存性 Ll_2型金属間化合物の環境脆化の本性を理解するために,Ni_3(Al,Ti)単結晶を用いて,主として試験温度の効果について調べた。その結果、[001]方位を持つ単結晶の伸び値は,真空中ならびに大気中のいずれの雰囲気でも室温からの温度上昇と共に増大し,約570Kで最大伸び値を示した後減少した。真空中で引張り試験を行った試料は大気中で引張り試験を行った試料よりも高い値を示し,この差異は約570Kで消失した。また,液体窒素に浸したものは極めて高い伸び値を示した。破壊様式は,試験温度に依らず,伸び値の低いものでは引張り軸に垂直な(001)面で擬へき開状の破面を呈する傾向を示し,伸び値の高いものでは(111)面もしくは最大せん断応力面に近い非結晶学面に沿う延性に富む破面を呈する傾向を示した。以上の結果は本試料の環境脆化は室温近傍でもっとも著しい事を示している。 2.ほぼ化学量論組成からなるTiAlの環境脆化 ほぼ化学量論組成からなり組織制御されたTiAl多結晶体の機械的性質に及ぼす試験雰囲気依存性を広い温度領域で引張り試験により観察した。室温では,真空中ならびに酸素ガス中で最も高い伸び値(0.95%)を,大気中ではこれよりやや低い伸び値(0.8%)を,水素ガス中では最も低い伸び値(0.25%)を示した。破面は粒内へき開破壊様式が支配的であり、雰囲気による明瞭な違いは認められなかった。温度上昇と共に伸び値は上昇し,いずれの温度でも真空中での伸び値は大気中でのそれより高い値が観察された。この差異は470Kと870Kとの間の温度域で大きくなる傾向を示した。
|