1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03650584
|
Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
羽木 秀樹 福井工業大学, 工学部, 講師 (40117213)
|
Keywords | 電気めっき / 亜鉛ーニッケル合金めっき / 腐食生成物 / 塩基性塩化亜鉛 / 水溶液腐食 / 電気化学的インピ-ダンス / 残留応力 |
Research Abstract |
本研究の目的は,自動車用防錆鋼板として実用化されている亜鉛ーニッケル合金めっき鋼板の腐食機構を明らかにすることにある.本研究では次のような実験を行い,いくつかの結果を得た.1.市販の軟鋼を下地材料とし,大気開放静止浴状態の硫酸浴を用いて,ニッケル濃度約10%,膜厚約10μmの亜鉛ニッケル合金めっきを行ったものを試料とし,塩素イオン濃度とpHの異なる種々の水溶液中での腐食挙動を調べた.(1)3%塩化ナトリウム水溶液中に長時間浸漬した試料表面には,めっき皮膜での腐食溝の形成と,赤褐色の錆と白色の錆の形成が認められた.この腐食生成物をX線回折で分析し,白色の錆は塩基性塩化亜鉛であることがわかった.(2)基性塩化亜鉛は絶縁体であることより,その形成は腐食に対する保護皮膜作用を持つものと推測されたので,その形成条件について調べた.3%塩化ナトリウムを含む種々の緩衝液中での腐食生成物の形成を調べたところ,塩基性塩化亜鉛の形成はpH8.0以上の溶液に限られた.3%塩化ナトリウム水溶液のpHは6.0であるので,腐食に伴ってめっき皮膜近傍の溶液pHが浸漬直後の6.0から8.0以上へと変化するために腐食生成物として塩基性塩化亜鉛が形成されることがわかった.(3)腐食進行に伴う電気化学的インピ-ダンスの変化を測定したが,極めて複雑な変化を示し,現在のところそれに基づく腐食機構の考察はできていない.2.亜鉛ーニッケル合金めっき皮膜の腐食で特徴的なことは,腐食溝の形成である.この形成はめっき皮膜中の残留応力にあるものと推測して,めっき途中での応力(ひずみ)の発生と腐食に伴うその変化をひずみゲ-ジによって調べた.(1)本実験のめっき条件では,ほぼ10^<-4>の圧縮ひずみが発生した.(2)腐食に伴ってそのひずみは消滅した.(3)腐食に伴うひずみの消滅と腐食電位の経時変化はよく対応した.
|