1992 Fiscal Year Annual Research Report
新規の固定化金属アフィニティー吸着ゲルの開発に関する基礎的研究
Project/Area Number |
03650605
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
井上 勝利 佐賀大学, 理工学部, 教授 (90039280)
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Keywords | アフィニティークロマトグラフィー / 固定化金属アフィニティークロマトグラフィー / 吸着 / 金属 / タンパク質 |
Research Abstract |
固定化金属アフィニテイークロマトグラフィーはタンパク質の分離・精製に広く用いられている手段であるが、固定化金属の漏洩が問題となっていた。本研究においては漏洩のない新規の吸着ゲルの開発を試みた。金属を固定化する配位子として(1)ポリアミノカルボン酸タイプのもの、(2)ポルフィリン環を有するものの2つのタイプのゲルを合成した。また固定化金属としては水和水の配位子交換が非常に遅く、漏洩が少ないと予想されるアルミニウムおよび3価のクロム、コバルトを採用し、(1)のゲルに固定化した。しかし予想に反してエチレンジアミン3酢酸型のゲルにおいても、トリエチルテトラミン5酢酸型のゲルにおいても銅に関してはイミノ2酢酸型のゲルと同程度の漏洩が見られた。しかしアルミニウム、クロムを固定化した場合はいずれのゲルにおいても金属の漏洩は見られなかった。またコバルトの場合もわずかの漏洩しか見られなかった。これらの金属を固定化したエチレンジアミン3酢酸型のゲルを用いてα-キモトリプシン、リゾチーム、アルブミンの吸着に及ぼすpHや共存塩濃度の効果について調べた。いずれの金属においてもリゾチームが最も選択的に吸着された。またpHが5〜8の間で吸着が最大となる点が見られたが、これは金属の種類によって異なり、固定化した金属とタンパク質との間に何らかの特異的相互作用があると考えられた。リゾチームの吸着に対する塩濃度の効果は低濃度領域においてかなり大きく、この系においては吸着に及ぼす静電的相互作用もかなり大きい事が解った。(2)のタイプのゲルはエチレンジアミンを導入したアガロースゲルにヘマトポルフィリンの亜鉛、ニッケル、コバルト錯体を縮合させることによって合成した。これらのゲルによりアルブミンとα-キモトリプシンの吸着に及ぼすpHと塩農度の効果を調べ、この種のゲルにおいても金属との特異的相互作用の外、静電的相互作用が大きいことが解った。
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