1992 Fiscal Year Annual Research Report
フッ素を含む新規グラファイト層間化合物の合成、物性と機能発現
Project/Area Number |
03650621
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Research Institution | SHINSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
東原 秀和 信州大学, 繊維学部, 教授 (40026141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沖野 不二雄 信州大学, 繊維学部, 講師 (60214037)
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Keywords | グラファイト層間化合物 / フッ素化学 / 高電導材料 / フッ化物触媒 / 二次元相転移 / 三フッ化アンチモン / 五フッ化ヒ素 |
Research Abstract |
1.触媒を用いるフッ素-グラファイト層間化合物(C_XF)の合成 フッ素存在下ではルイス酸であるSbF_3やHFを触媒として用い、単体フッ素のインターカレーション反応の制御によって、組成、C-F結合の性質、構造が異なる多様なC_XFの合成を試みた。SbF_3触媒を用いた場合には、2日〜14日間の反応時間でイオン性化合物C_XF(6≦x≦13)が生成した。これは無触媒下でのインターカレーションと比較すると反応速度がかなり速い。HF触媒の場合には、さらに反応速度が速くなり、より短時間でフッ素濃度の高いC_XF(3.3≦x≦8.7)が生成する。フッ素濃度の高いC_XF(x<6)ではC-F結合の性質がイオン性から半イオン結合性に移行する。 2.C_XFの電気伝導度(σ_<ab>) ab-面内電気伝導度はインターカレーションされたフッ素濃度の増加と共に増え、x=7で最大値σ_<ab>〜10^5S/cmを与える。この結果は、無触媒下で得られるC_XFとほぼ同一である。C_6Fのσ_<ab>を液体ヘリウム温度まで測定した結果の解析から得られたC_XFのσ_<ab>上限は2.4×10^5S/cmであった。 3.AsF_5-グラファイト層間化合物(C_XAsF_6)の構造、物性と二次元相転移 AsF_6^-のグラファイト層へのネスリング現象に注目し、ネスリングした化合物の合成法を確立した。次に、C_XAsF_6におけるホスト-ゲスト間の電荷移動量が、アクセプター層間化合物のなかでは最も大きいことを見い出し、これが非常に大きなσ_<ab>を与えることを明らかにした。構造に関しては、290Kから80Kのギニエ粉末写真より、170-180Kにorder-disorder転移があることを見い出し、170K以下ではネスリングしたAsF_6^-が面心斜方格子の超格子配置をとり、グラファイト層はAB型積層をしていることが明らかにされた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 沖野 不二雄、東原 秀和: "グラファイト層間化合物" エレクトロニク・セラミクス. 23. 18-26 (1992)
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[Publications] F.Okino,Y.Sugiura,H.Touhara,A.Simon: "The Order-Disorder Transition of Stage-1 Graphite Fluoroarsenate Intercalation Compound:The Structure of C_<16>AsF_6 below 170K" J.Chem.Soc.Chem.Commun.