1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03650623
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
花田 禎一 京都大学, 教養部, 助教授 (50111935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田部 勢津久 京都大学, 教養部, 助手 (20222119)
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Keywords | 非晶質薄膜 / 高周波スパッタリング / ヤング率 / 非晶質AlN膜 / Al_2O_3ーTiO_2系膜 / 高弾性 |
Research Abstract |
一般に、酸化物中の酸素を一部窒素に置換するとその弾性率が著しく増大することが知られているため、Al_2O_3中の酸素の一部を窒素で置換したAlーOーN系の非晶質薄膜を作成し、その弾性率を振動リ-ド法により測定した。しかしながら、Al_2O_3のヤング率が122GPaであるのに対し、AlNの増加にともないヤング率は減少し、約50mol%AlNで極小を示した。これは約50mol%AlN以下の組成では、6配位のAl^<3+>が減少、4配位のAl^<3+>が増加することによる配位数の低下が、窒素置換による弾性率増加の効果を打ち消したためであると考えられる。したがって、いかに陽イオンを高配位状態に保ったまま非晶質にできるかが、高弾性率を得るための条件となる。 いま、Al_2O_3ーTiO_2系非晶質膜において、その化学シフトから約50mol%TiO_2からAl^<3+>の配位数は平均5から6へ、Ti^<4+>の配位数は4から6へ変化しはじめ、約80mol%TiO_2以上の組成では、すべての陽イオンが6配位状態で存在することが報告されている。そこで、高周波スパッタリング法で作成したAl_2O_3ーTiO_2系非晶質膜の密度を測定し、陽イオンの配位数変化との関係について考察した。 非晶質膜の密度は、約50mol%TiO_2で極小を示した。組成と密度から求められる平均原子容は、約50mol%TiO_2で極大を示し、約80mol%TiO_2で極小を示した。この平均原子容の組成依存性は、陽イオンの配位数変化によく対応している。平均原子容が、約50mol%TiO_2から80mol%TiO_2の間で減少するのは、この間に陽イオンの低配位から高配位状態に変化し、構造が密になるためであると考えられる。 今後は、高周波スパッタリング法により作成したAl_2O_3ーTiO_2系非晶質膜の弾性率を共振法、振動リ-ド法により測定する予定である。
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