1991 Fiscal Year Annual Research Report
金属カルボニルの光化学反応を用いた分子レベルの表面修飾
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03650643
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
森川 陽 東京工業大学, 工学部, 教授 (00016396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 雄二 東京工業大学, 工学部, 助手 (40182985)
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Keywords | モリブデンカルボニル / タングステンカルボニル / クロムカルボニル / モリブデンカルボニルの光化学 / 光触媒メタセシス / 光触媒異性化反応 / モリブデンサブカルボニル / メタセシス触媒 |
Research Abstract |
I.多孔質バイコ-ルガラス,NaY型ゼオライト,HY型ゼオライト,アルミナ,チタニアをそれぞれ担体として,Mo(CO)_6を担持し,プロピレんのメタセシス活性を調べた結果,常温,UV光照射下でのみ安定な活性を示した担体は多孔質バイコ-ルガラスであった。 II.多孔質バイコ-ルガラス(PVGと略記)に担持したW(CO)_6,並びにCr(CO)_6(以下W(CO)_6/PVG及びCr(CO)_6/PVGと略記)についても調べた。光照射下で,Cr(CO)_6/PVGは不活性であった。W(CO)_6/PVGは活性であったが,Mo(CO)_6の活性には及ばなかった。 III.常温,光照射下で最も高い活性を示したMo(CO)_6/PVGについてその光照射による変化を,UVーVIS分光法並びに質量分析法によって調べた。 Mo(CO)_6/PVGに排気下にUV光照射すると400nmに極大を有する新たな吸収帯が観測された。質量分析により光照射下にCOの脱離が観測されたこと,並びにCOの導入によりこの吸収帯が消失したことから,光照射により現われた新たな吸収帯はサブカンボニル種Mo(CO)_<6ーx>と同定した。 IV.Mo(CO)_6/PVGの上にオレフィンを導入して光照射下するとメタセシスと異性化反応が効率良く進行した。Iーブテンを用いると,生成物の成分比より,メタセシスと異性化反応の比を求めることができる。この比は反応の初期段階で小さく,その後増加して一定となった。反応はCOを共存させると抑制され,比の値は低く保たれていた。これらの結果より、Mo(CO)_<6ーx>が反応の活性種であり,反応の初期ではCOの脱離の少なく,xの値の小さいサブカルボニル種が異性化反応の活性種となっており,比の値が一定となった段階では,xの値の大きいサブカルボニル種が活性種であると結論された。 V.以上より,PVGの表面をMo(CO)_6の光化学変化によって修飾し,触媒活性を有するサブカルボニル種Mo(CO)_<6ーx>を形成できたと結論した。
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[Publications] Y.Wada: "固体表面上における金属カルボニルの光化学 ー触媒活性種調製への利用ー" 触媒. 33. 202-208 (1991)
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[Publications] Y.wada: "Photosynthesis of Active Species for Catalytic Metathesis and Isomerization of Butenes from Mo(CO)_6 Adsorbed on Porous Vycor Glass" Catalytic Science and Technology. 1. 517-518 (1991)