1991 Fiscal Year Annual Research Report
リョ-ドベリ分子の励起解離過程と励起位置との相関に関する研究
Project/Area Number |
03650653
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
伊吹 紀男 京都教育大学, 教育学部, 教授 (30027065)
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Keywords | リュ-ドベリ分子 / 真空紫外光励起 / 励起解離過程 |
Research Abstract |
本研究の目的は、分子をリュ-ドベリ分子と呼ばれる、イオン化する直前の、高励起状態にした時、分子は最初に励起された分子内の位置を記憶した状態で反応を起こすかどうかを調べることである。研究対象として、SiCl_4、SiHCl_3、GeCl_4、CH_3SiCl_3および(CH_3) _2SiCl_2を選び、これらの化合物の106ー200nmにおける価電子における光吸収スペクトルを分子科学研究所極端真空紫外光実験施設を使って測定し、リュ-ドベリ状態のエネルギ-準位を確定した。この測定結果に基づいて、10.2および11.6eVの真空紫外光を照射して、励起解離生成物からの発光を分光した。また、SiF_4については33〜133eVのシンクロトン放射光で分解し、生成するフラグメントイオンの測定を行った。これらの測定の結果、次のことが明らかになった。 1.ケイ素およびゲルマニウムの塩化物においては、塩素原子の非結合電子をリュ-ドベリ状態に励起すると、電子励起SiCl_2およびGeCl_2ラジカルが生じ、蛍光を発する。 2.ケイ素の塩化物においては、SiCl_3ラジカルからの発光と考えられる蛍光を観測した。これは今回新たに発見した発光であり、発光源がSiCl_3であることを確証するための研究を現在も続行している。 3.CH_3SiCl_3および(CH_3) _2SiCl_2においては、CーH結合電子をリュ-ドベリ状態に励起しても発光は観測されない。 4.SiF_4では、105eV以上の光で、Si原子の内殼2p電子を束縛あるいはリュ-ドベリ状態に励起すると、一光子励起であるにもかかわらず、三価の分子イオンが生じるという多価イオン生成の現象を観測できた。 以上のように、基本的には初期の研究目的を達成できたものと考える。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Takashi Imamura: "Dissociative single,double,and triple photoionization of silicon tetrafluoride in the valence shell and silicon 2P regions(bv=33ー133eV)" The Journal of Chemical Pluysics. 94. 4936-4948 (1991)