1992 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素濃度測定のための固体炭酸塩系ガスセンサーの研究
Project/Area Number |
03650660
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
新関 良夫 東北工業大学, 工学部, 教授 (30085493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仁科 辰夫 東北大学, 工学部, 助手 (60172673)
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Research Abstract |
研究経過 アルカリ金属炭酸塩の混合物に保持体の役割をもたせるためにアルミナを混合した系は、その共融点付近で、少量の液相が発生しても固体状態は変わらず、高導電性の固体電解質としての特性を示すことが分かった。アルカリ金属炭酸塩であるLi_2CO_3,Na_2CO_3およびK_2CO_3とAl_2O_3をそれぞれ65.5,7.5,7.5および20.0mol%混合した系はその1つの例で、導電率は、この系の共融点(390℃)近傍で約1000倍増大し、10^<-2>S・cmに達することが分かった。しかも、共融点より100℃の高温でも固体状形は完全に保持された。なお、K_2CO_3とLi_2CO_3の混合量がこれより少ない時、同じ温度範囲では導電率の増加は10倍程度小さくなり、最適混合比の存在が示唆された。この電解質と100メシュの金(Au)網の電極を備えた電池を製作し、空気と二酸化炭素の混合気体を基準極とし、酸素と二酸化炭素の分圧を90から0.1%の範囲で種々変えたガスを通じたところ、ほぼNernstの式に類似した分圧依存性が測定された。一般に、分圧が小さくなるとずれが大きくなる傾向が見られた。また、分圧変化の繰り返しに対する起電力の応答性と再現性は極めて良かった。詳細な検討はこれからであるが、この電池は酸素と二酸化炭素のセンサとして極めて優れた応答特性を持つことが分かった。炭酸ナトリウム(Na_2CO_3)をPbCl_2に混合した系の焼結体はPbCl_2単味の約30倍の高い導電率を持ち、300-375℃で10^<-2>S・cmに達することが分かった。ただし、焼結の際、390℃付近でNa_2CO_3は分解されることが示差熱分析と熱重量曲線から確認された。この結果、導電率の増大は、Na_2CO_3が分解して生成されるNa_2Oが一部固溶し、Koch-Wagner型欠陥の塩化物イオン空孔を発生することによるものと考えられる。 研究成果報告書として取りまとめられない理由 (1)共融点より高温で高い導電率を示す電解質が見つかったが、このような特性を示す電解質がNa_2CO_3,Li_2CO_3,K_2CO_3の三成分系状態図の中にどのように分布するか、(2)この電解質を使用したセンサの酸素・二酸化炭素に対する感度は極めて良く、応答速度も極めて速いことが分かったが、他のガスに対する感度、即ち、ガスの選択性はどうか、(3)センサーの低濃度ガス検出感度はどうか、などについて現在実験的検討と電極反応理論からの検討を進めつつある。その故、これらの研究成果をまとめるのにあと約9ヶ月は必要である。
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