1991 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属錯体を用いた接触的炭素ー炭素結合生成法の開発
Project/Area Number |
03650671
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松田 勇 名古屋大学, 工学部, 講師 (80023266)
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Keywords | ロジウム錯体 / 一酸化炭素取り込み / αーシリルメチレンーβーラクトン / αーシリルメチレンーβーラクタム / アルド-ル型カップリング |
Research Abstract |
報告者はRh錯体とトリオルガノシランの組み合わせが接触的炭素ー炭素結合生成に極めて有効な反応剤として利用できることを見出した。本研究ではこの反応剤の合成化学的活用を図るため、(1)アセチレン結合のシリルホルミル化におけるRh錯体の役割の解明、(2)ヒドロキシ基またはアミノ基を同一分子内に含むアセチレン誘導体のカルボニル化によるαーシリルメチレンラクトンおよびラクタム骨格の単一槽合成、(3)Rh_4(CO)_<12>を触媒とした中性条件下でのα、βー不飽和カルボニル化合物、アルデヒドおよびトリアルキルシランの三成分カップリングによるアルド-ル型化合物の選択的合成法の開発に焦点を合わせた。その結果、(1)ではRhーSi結合に対する配位アセチレン結合およびRhーC結合への配位カルボニル基挿入後、還元脱離を経てシリルホルミル化が完結することが明らかとなった。また、同一分子内にヒドロキシン基が存在する場合でも、ヒドロキシン基は全く反応せず、シリルホルミル化が優先する。ところが、反応系内に強塩基性のDBUを小量共存させると、(2)のαーシリルメチレンーβ、γ、δーラクトン類の単一槽合成を実現できた。その際、ケイ素上の嵩高い置換基およびプロパルギル位の置換基がラクトン環生成に有利な因子として作用している。この知見に基いて検討したところ、窒素原子上に電子吸引性基を持つプロパルギルアミン誘導体の場合にもやはりαーシリルメチレンーβーラクタム骨格を一段操作のみで組み立てられることが明らかとなり、より一般的なβーラクタム環合成のための新規ル-ト開発の端緒となることが期待できる。(3)の計画に関しても、α、βー不飽和エステルを用いた場合には室温下でもほぼ定量的な収率でアルド-ル型生成物が得られることがわかり、この反応がエナンチオ選択性実現のためのモデル反応として利用できることを示している。
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