1992 Fiscal Year Annual Research Report
電解還元系で惹起されるパラジウム錯体の極性変換機構の解明と新反応活性種の創製
Project/Area Number |
03650678
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田中 秀雄 岡山大学, 工学部, 助教授 (60032950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥居 滋 岡山大学, 工学部, 教授 (70032927)
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Keywords | パラジウム錯体 / 電解還元 / アリールパラジウム錯体 / 極性変換 / ビアリール / クロスカップリング / プロパジルアセタート / 複合金属レドックス |
Research Abstract |
電解還元系での_<s‐>アリールパラジウム錯体の挙動と反応活性種を解明するための基礎研究と、新規電解還元系パラジウム錯体触媒反応の開発に向けた研究を行なった。前年度の研究で、_<s‐>アリールパラジウム錯体が二電子還元により"_<s‐>アリールパラジウム(0)アニオン"と"アリールアニオン、パラジウム(0)"の平衡混合物を与えることを示唆する結果をえたが、本年度は、まず、この仮説を念頭においた、異種アリールハライド間クロッスカップリング反応の可能性について検討した。N,N‐ジメチルアミノフェニールヨージドと等モルのパラジウム(0)錯体との反応で相当する_<s‐>アリールパラジウム錯体を調製し、これに_<t‐>ブチルフェニールヨージドを加え電解還元すると、期待したクロッスカップリング体(ビフェニール)が生成した。本反応の機構については、十分に明かではないが、上述の平衡混合物の生成を支持している。一方、プロパジルアセテートとパラジウム(0)錯体との反応で生成するアレニルパラジュウム錯体の電解還元系では、アレニルパラジュウム(0)やアレニルアニオン等価体の生成を示唆する結果をえた。このことは、アレニルパラジュウム錯体の極性反転につながるものとして興味深い。また、本研究の応用展開として、アルケニルスズ/パラジウム錯体、あるいはアルケニルスズ/塩化第一銅等の複合金属レドックス電子伝達系についても検討し、これらの複合系で、アルケニルラジカル等価体が生成することを見いだしている。 以上、電解系で惹起されるパラジウム錯体の極性反転並びに複合金属レドックス系における電子伝達機構を中心に基礎研究を展開し、今後の研究の展開に指針を得ることができた。
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[Publications] Hideo Tanaka: "A Facile Synthesis of C(3)‐Alkenyl Substituted Cophems through Addition‐Cyclization of Allenecarboxylates derived from Penicillin" Tetrahedron Letters. 33. 7029-7030 (1992)
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[Publications] Hideo Tanaka: "Electrooxidative Initiation of Tin Hydride‐Promoted Radical Chain Reactions" Tetrahedron Letters. 33. 6495-6498 (1992)
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[Publications] Hideo Tanaka: "A Facile Access to 2‐exo‐Methylenepcnam; A Potent Intermediate for Syntheses of New β‐Lactamase Inhibitors" J.Chem.Soc.,Chemical Communication. 1793-1794 (1992)