生体エネルギ-・情報伝達機能のモデル化に関する研究

1991 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 03650697
• Research Institution: Shizuoka University
• Principal Investigator: 小夫家 芳明 静岡大学, 工学部, 教授 (80026195)
• Keywords: 構造ー機能変換 / イオンー電子共役輸送 / ポリエ-テル / ホスト-ゲスト

Research Abstract

生物におけるエネルギ-変換・情報伝達機能を担っている生体膜の共役電子ーイオン流束機能を模して、情報処理、神経伝達、刺激応答などの優れた機能を人工的に構築し、エレクトロニクス、イオニクス分子素子として工学的に利用するための新しい機能性分子の合成及び分子集団システムの研究を行った。
先ず、金属イオン(特に遷移金属イオン、M_1)を強力に捕捉するアニオン捕捉性配位子としてのカテコ-ル、βージケトンをポリエ-テル鎖の両端に連結した複合金属イオン捕捉分子を合成した。このアニアン配位子場にホウ素、ウラニル、銅(II)等の金属イオンを捕捉させる事によって分子全体のコンホメ-ション変化を誘起させテポリエ-テル鎖を組織化し、別種の金属イオン(典型金属イオン、アンモニウムイオンなど、M_2)に対する捕捉場を提供できる構造ー機能変換が可能であることを示し、金属イオンの捕捉に対するアロステリズム機能の構築に成功した。またポリエ-テル鎖の一方の端にβージケトンを有する化合物を合成し、後者配位子場への銅(II)イオンの配位によって、ポリエ-テル鎖を規則正しくチャネル状に配列した分子集合体形成が可能であることを見い出した。この分子集合体はベヘン酸等の長鎖アルキルカルボン酸等と共に水面上に展開することにより、単分。膜中に安定に取り込ませることが出来た。更に膜を介したイオンー電子輸送機能の共役化を図るため、ホストの水溶性を抑えて膜に安定に保持すべく、上記の協同的イオン捕捉の可能なホストについて、フェニル、シクロヘキシルなどの官能基を導入した新しいホスト分子を合成した。

Research Products

• [Publications] Y. Kobuke: "Metalーassisted Organization rather than Preorganization for the Design of Macrocyclic Hosts" Angew. Chem. Int. Ed.,Engl.30. 1496-1498 (1991)
• [Publications] Y. Kobuke: "Positive Cooperativity in Cation Binding by Novel Polyethe Bis(βーdiketone)Hosts" J. Am. Chem. Soc.114. 789-790 (1992)