1991 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウム塩を用いるアルコ-ル溶媒中での立体選択的有機合成反応の開拓
Project/Area Number |
03650700
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大嶌 幸一郎 京都大学, 工学部, 助教授 (00111922)
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Keywords | 塩化カルシウム / 水素化ホウ素ナトリウム / αーエノン / 3ーケトアミド / α,βーエポキシケトン |
Research Abstract |
交付申請書に記載の計画に従い研究を行い次の成果を得た。 1.3ーヒドロキシエステルや3ーヒドロキシアミドの立体選択目合成は,有機合成上重要な課題である。この問題の解決法としてメタノ-ル中に容易に溶解する種々の金属塩化物共存下,3ーケトエステルや3ーケトアミドのNaBH_4による還元反応について検討した。その結果塩化カルシウムや塩化亜鉛,塩化マンガンを用いるエリトロー3ーヒドロキシエステルやエリトロー3ーヒドロキシアミドが選択的に得られることを見いだした。特に3ーケトアミド(RCOCH(Me)CONMe_2)を基質とし塩化マンガンを用いた場合にはRの種類にかかわらずいずれも98%以上の高い選択性でエリトロ体を得ることができた。さらに使用する塩化マンガンの量は高選択性を維持したままで基質に対して触媒量にまで減じることができることも明らかとなった(研究発表1)。 2.塩化カルシウムをはじめとするアルカリ土類金属塩化物の共存下におけるNaBH_4によるαーエノンの還元反応について検討した。2ーシクロヘキセノンを基質としMgCl_2,CaCl_2,Srcl_2,Bacl_2共存下にNaBH_4を作用させると1,2ー還元体である2ーシクロヘキセンー1ーオ-ルが選択的に得られることが明らかとなった。Cacl_2を用いると最も選択性が高く2ーシクロヘキセンー1ーオ-ルとシクロヘキサノ-ルの生成比は97:3であった。CaCl_2ーNaBH_4系によるエノンの選択的還元反応の適用限界をみるため種々のエノンについて反応を行った結果,脂環式エノンだけでなく直鎖脂肪族エノンにおいても一般的に1,2ー還元体が高選択的に生成することがわかった(研究発表2)。 3.塩化カルシウム共存下メタノ-ル中でα,βーエポキシケトンをNaBH_4で還元するとエリトロ体のα,βーエポキシアルコ-ルが高選択的に得られることを見いだした(研究発表3)。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hideaki Fujii: "A Practical and Stereoselective Reduction of 3ーKetoー2ーmethyl Esters or 3ーKetoー2ーmethyl Amides into erythroー3ーHydroxyー2ーmethyl Esters or erythroー3ーHydroxyー2ーmethl Amides with NaBH_4 Catalyzed by MnCl_2" Tetrahedron Letters. 32. 6147-6150 (1991)
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[Publications] Hideaki Fujii: "A Facile and Selective 1,2ーReduction of Conjugated Ketones with NaBH_4 in the Presence of CaCl_2" Chemistry Letters. 1847-1848 (1991)
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[Publications] Hideaki Fujii: "A Facile and Stereoselective Reduction of α,βーEpoxy Ketones with NaBH_4 in the Presence of CaCl_2" Chemistry Letters.