1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03650706
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
南 享 九州工業大学, 工学部, 教授 (10029134)
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Keywords | 1ーケトビニルホスホナ-ト / ダブルマイケル付加 / 分子内HornerーWittig反応 / Nazarov環化 / ジビニルケトン / ジキナン誘導体 / トリキナン誘導体 |
Research Abstract |
シクロペンタン骨格の簡便な合成ル-トの開発は、縮環シクロペンタン骨格を有するジキナンやトリキナン類が有用な生物活性を示すところから、有機合成化学者にとって挑戦的なテ-マとなっている。 本研究では、多方面に活用可能な試薬である1ー(シクロペンテニルカルボニル)ビニルホスホナ-ト(1)を開発するのに成功した。このビニルホスホナ-ト(1)のNazarrov環化をルイス酸(塩化スズ,塩化鉄)存在下で行うと,2ー(ジアルコキシホスホリル)ー2,3,4,5,6ーペンタヒドロペンタレンー1ーオン(2)が得られた。また(1)はナトリウムマロン酸ジエステルのダブルマイケル付加反応をうけ、3ーホスホリルビシクロ[4.3.0]ノナンー2ーオン(3)を高収率で与えた。 (2)および(3)とパラホルムアルデヒドとのHornerーWittig反応はそれぞれ相当するエノン(4)および(5)を与えた。 さらに(1)のαーケトビニルホスホナ-ト部分をシクロペンテル環化試薬として利用することにより、ジシクロペンテニルケトン(6)の合成に成功した。即ち、(1)に(1,3ージオキソランー2ーイル)エチルマグネシウムブロミドのマイケル付加,アルデヒドへの加水分解,分子内HornerーWittig反応を連続して行うことにより、天然由来のトリキナン合成の鍵中間体である(6)を51%〜70%収率で得た。 この(6)をポリリン酸存在下、Nazarov環化反応させると、期待したトリキナン誘導体のトリシクロ[6.3.0.0^<3,7>]ウンデセノン(7)が45〜87%収率で得られた。 このような反応挙動は、ビニルホスホナ-ト(1)のみならずその同族体の1ーヘプニテルーおよび1ーオクテニルカルボニルビニルホスホナ-トにおいても認められた。 このように1ー(シクロアルケニルカルボニル)ビニルホスホナ-トはマイケル付加、分子内WittigーHorner反応、Nazarov反応の連続反応を経由することにより、種々のトリキナンリング系ならびにその同族体の構築に極めて有用な反応中間体であることが判明した。
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[Publications] T.Minami,M.Nakayama,K.Fujimoto,S.Matsuo: "A New Approach to Cyclopentane Annulated Compounds via 1ー(Cyclopentー1ーenylcarbonyl)vinylphosphonates" J.Chem.Soc.,Chem.Commun.190-191 (1992)