1991 Fiscal Year Annual Research Report
有機高分子材料の光劣化に対する波長効果と材料の寿命予測
Project/Area Number |
03650720
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鳥飼 章子 名古屋大学, 工学部, 助手 (50023122)
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Keywords | 有機高分子材料 / 光劣化 / 大型スペクトログラフ / 波長効果 / 光強度効果 / 寿命予測 / ポリメチルメタクリレ-ト |
Research Abstract |
有機高分子材料は、太陽光のもとで使用されるときに次第に劣化しその機能を失っていく。これら材料に、大型スペクトログラフ(OLS)を用いて、250ー500nmの範囲で任意の単色光を照射し,有機高分子材料が劣化を起こす波長を特定し、かつ、光強度の効果から材料の寿命予測を行うことを、今年度の目標とした。 有機高分子材料として、ポリメチルメタクリレ-ト(PMMA)を用い、溶媒キャスト法によりフィルムとし、空気中および真空中(10^<-H>Torr)23℃でOLSにより光照射を行った。照射波長は、260,280,300,320,340,400,500nmである。照射後、化学構造の変化を、紫外吸収(UV)スペクトル,FTIRスペクトル(今年度本研究補助金で新規購入)により検出した。また、劣化の直接的指標となる分子量変化を粘度測定によって検討した。 実験結果からPMMAの光劣化には波長依存性があることがみいだされた。すなわち、光劣化のしきい値は320nm付近にあり、PMMAの光劣化は320nmより長波長の光によっては起こらないことが明らかになった。また、空気中と真空中での光照射の結果を比較して260,280nm照射では、側鎖切断を経由して主鎖切断を起こす過程が、また、300nm照射では、主鎖が直接切断する過程が主として関与していることがみいだされ、PMMA光劣化に対し、上記2つの機構が提案された。この機構はESRにより直接反応中間体を測定することによっても支持された。さらに、光強度効果から同一光量の照射を行った時劣化は、単位時間当りの光強度を小さくして長時間照射を行った時の方が単位時間当りの光強度を大きくして短時間照射を行った時よりも、促進される傾向が認められ、寿命予測に関する基礎的なデ-タが得られた。さらに、光強度効果に関する研究を進めていく予定である。
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[Publications] Takuya Mitsuoka,Ayako Torikai,Kenji Fueki: "WavelengthーSensitivity of the Photodegradation of Polymethylmethacrylate" Appl. Polym. Sci.
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[Publications] 鳥飼 章子,苗木 賢二: "高分子光分解のメカニズム" 高分子加工. 40. 114-119 (1991)